2003年7月2日(水)「しんぶん赤旗」
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【パリ1日浅田信幸】世界遺産の平城宮(京)跡に高速道路を通す計画の撤回をめざし、「高速道路から世界遺産・平城京を守る会」の代表団(団長=浜田博生「守る会」代表)一行十六人は、六月三十日からパリの国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で開かれている第二十七回世界遺産委員会に参加し、関係者に要請行動をおこないました。今回の世界遺産会議には「守る会」の代表がオブザーバーの資格を与えられて出席したものです。
三十日には鈴木重治「守る会」代表・同志社大学嘱託講師が世界遺産委員会のフランチェスコ・バンダリン事務局長(世界遺産センター長)に、用意した資料パンフを手渡して説明。また出席している各国代表とオブザーバーにも配布しました。バンダリン氏はこれにたいし、「大変いい資料だ」と応え、一行を歓迎しました。
道路計画は、京都・奈良・和歌山を結ぶ京奈和自動車道の奈良市内を通るルートとして、平城宮跡も含めて検討されています。トンネルを掘ることで地下水位の低下が予想され、地下水で守られている埋蔵文化財を破壊する恐れがあります。昨年七月には、文化財検討委員会が道路建設は史跡範囲を避けるべきだと提言しました。
しかし国土交通省は計画を撤回せず、昨年九月に発足した「大和北道路有識者委員会」はこの夏にも四ルートから一つを選び、国交省に推奨する予定です。
「守る会」の小井修一事務局長は「差し迫った事態にあることを理解いただいて、日本政府に対し高速道路建設を断念するよう何らかの働きかけをしてもらえれば」と語りました。