2003年7月2日(水)「しんぶん赤旗」
労働時間を自由に決められる裁量労働制で勤務していた大手機械メーカー「コマツ」の研究員諏訪達徳さん=当時(34)=が自殺したのは過労が原因だとして、神奈川県平塚市に住む遺族が一日、同社に対し、約一億八千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。原告代理人は「裁量労働制下の過労自殺をめぐる提訴は初めて」としています。
訴えによると、諏訪さんは一九八四年に入社、機械部門の研究員として勤務していましたが、九八年九月にレーザー部門に異動後、裁量労働制を選択。不慣れな部門の研究開発を統括する一方、クレーム対応もこなし、勤務時間は一日十一−十八時間に及びました。
諏訪さんは九九年秋ごろから「仕事がつらい」と漏らすようになり、同年十二月、出勤前にマンション十階の自宅から飛び降り自殺しました。
原告側は「会社側が無理な納期を設定するなど多大な負担を強いた上、健康状態を把握し、負担を軽減するなどの処置を怠った」として賠償を求めました。
諏訪さんの自殺をめぐっては、昨年九月、平塚労働基準監督署が「裁量労働制が激務につながった」として労災認定しています。