日本共産党

2003年7月1日(火)「しんぶん赤旗」

“日本映画発展へ支援充実を”

労働条件改善求める質問に

文化庁 “現場の実態をきく”

日本共産党国会議員団

質問が国動かす


 日本共産党国会議員団は、映画振興に関する懇談会(文化庁、高野悦子座長)が発表した提言「これからの日本映画の振興について」の積極面を生かし、映画支援を充実する立場から、西山とき子参院議員(五月二十二日)、畑野君枝参院議員(同)、石井郁子衆院議員(六月十一日)が国会で質問し、政府から従来と違った積極的な答弁を引き出しています。

*従事者の労働条件改善

 映画製作の現場では、作品ごとに契約を結ぶフリー契約者が多く、雇用保険や労災補償がきちんと受けられず、まともな労働条件への要望は切実です。映画従事者が安心して働けてこそ映画の発展もあります。「映画提言」は、「一般勤務者並みの保障の下に、安心して仕事ができるよう、国は、環境の整備に努める必要がある」と指摘、「労働環境の…詳細な実態把握」を求めています。

 昨年、畑野議員がアニメ労働者の問題をとりあげ、現場調査を求めたさいには、文化庁は「調査はちょっと考えにくい」とまともに答弁しませんでした。今回、畑野議員は、「映画提言」をふまえて、「調査をすすめる段階に来ている」と指摘。文化庁も「提言を受けまして…実際に撮影所で働かれている方々から実態を伺う」と、現場の実情をつかむことを明らかにしました。

 この点を、石井議員がさらに追及。「労働組合からも意見を聞くべきだ」と指摘しました。文化庁は、労働条件改善に現場でとりくんでいる労働組合から、正式な意見聴取を行っていませんでしたが、銭谷眞美次長は、「意見を聞く方の中には労働組合に入っている方々も含まれる」とし、さらに、「労働災害の問題とか雇用保険の問題」など、改善の具体的課題をあげ、対応を検討すると踏み込んで答弁しました。

*製作支援や保存問題

 石井議員は、製作支援の充実をとりあげました。製作資金の確保は、映画人が映画づくりで一番苦労しているところです。現在の助成は、映画完成後に支払われる方法となっていますが、独立プロなどの現場では資金が事前に必要となっています。石井議員が前払い制度導入の検討を提案したところ、文化庁は「このシステムを今後どうするかは課題」と述べ、検討課題であることを認めました。

 「映画提言」が初めて検討するとした公的融資について、石井議員は、映画人が「日本映画振興基金」の提案などで要求してきた「全作品を目標に、作品内容について審査しない、融資は無利子」という内容が懇談会で示されたことを紹介。文化庁は、「たいへん参考になる提案と受けとめられております」と歓迎されていることを認めました。ただ、財政状況などを理由に解決すべき課題があるともしています。

 「映画提言」はすべての日本映画のフィルム保存制度の創設とフィルムセンターの東京国立近代美術館からの独立を提言しています。畑野議員は、フィルム納入費用は国が負担することやフィルムセンターの体制面の充実を求め、文化庁も「フィルムセンターの今後の在り方全般について関係者とともに検討を進めたい」とのべました。

 西山議員は、産業としての映画振興という角度から、経済産業省としても文化庁と連携して支援を強めるよう求めました。平沼経済産業大臣は、「御指摘のように文部科学省、文化庁とも連携をとって、力を入れていきたい」と答弁しました。

 日本共産党国会議員団は日本映画振興チーム(会長・西山議員)を結成し、撮影所やフィルムセンターの調査、関係者と懇談を重ねてきました。そうした努力が「映画提言」の積極面を生かした質問に実ってきています。(辻慎一 党学術・文化委員会事務局)

映画懇談会の提言について

文化庁に重点要望書

映演総連、日本映画復興会議

 映画演劇労働組合総連合(映演総連)と日本映画復興会議は、文化庁「映画振興に関する懇談会」が発表した提言「これからの日本映画の振興について」にたいする「重点要望書」をこのほど、それぞれ文化庁に提出しました。

 映演総連の要望書は、六項目からなっています。

 日本映画の製作支援について、独立した支援機関による公的融資制度の早期確立、フィルム保存について、納めるポジフィルムの費用を国が負担すること、撮影所への支援について、不動産課税減免の早期実施、映画製作関係者の労働実態の調査のために映演総連への公式なヒアリングの要望、日本映画の上映支援に積極的な施策を求めることなどです。

 日本映画復興会議の要望書は、フィルムセンターの仕事や鑑賞、普及運動などが中心です。

 フィルムセンターの拡充については、同センターの独立行政法人化に反対するとともに、同センター内に開設される「映画の広場」を幅広い映画人の衆知を集めて運営すること。数十年にわたって日本映画のために自主的な運動を重ねてきた映画の労働運動、普及運動、鑑賞運動などの声を生かす姿勢を確立すること。子どもが映画を見られる機会が増えるように運動している親子映画運動の上映場所確保の苦労など切実な要求に積極的に対応すること。さらに、「映画」についての基本概念の科学的な解明の必要などをあげています。


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