日本共産党

2003年7月1日(火)「しんぶん赤旗」

シリーズ 取り戻せ 働くルール

フル操業のなか退職強要

事務用品のコクヨ

“辞めずに頑張ろう” 党支部よびかけ


 事務用品最大手のコクヨ(黒田章裕社長、本社・大阪市)は、大阪・八尾工場を今年いっぱいで閉鎖し、中高年労働者をねらって全社で三百人の希望退職募集、出向・転籍のリストラをすすめています。「優良企業なのに、問答無用のやり方は許せない」。労働者の怒りが職場に広がっています。

高配当続けながら労働者に犠牲

仕事はない

 コクヨは昨年九月、「企業再生のため」といって、リストラ計画を発表。一九六一年操業の八尾工場の閉鎖、希望退職に応じない労働者は子会社の滋賀工場へ出向、その後に転籍―と労働者の追い出しをはかっています。閉鎖の理由は、市に払う税金や生産コストが高いためといいます。

 労働者に「残っても仕事はない」と執拗(しつよう)に退職を強要。「マイホームを他人に貸して滋賀の社宅に住めとはあんまりや」「家族と離れて単身赴任はできない」。行くか辞めるか、多くの中高年労働者が真剣に悩み、泣く泣く退職に応じる労働者も出ました。そんななか、会社は賃金が安いアルバイトを雇い、製造ラインに組み入れました。

 職場は、需要期の一―四月増産に加え、移転のための備蓄増産で昼休み稼働や残業、夜勤、土曜・休日出勤とフル操業。それでも人が足りずに子会社から応援を集めました。本来なら希望退職募集の余地はありません。ところが八尾工場では希望退職対象者の八割、八十人が応じました。あわてた会社は、退職日を当初の昨年十二月末から四月末に延期しました。

 週休二日制なのに、変形労働時間制を採用しているため、一月から四月には土曜出勤が十一日ありました。会社に残る人は五月以降に代休が取れますが、退職者は二日半分の精算金しかでませんでした。

 「アルバイトや派遣に置き換えて中高年労働者は追い出したい、繁忙期で生産体制は強化したいという身勝手なやり方です」と、日本共産党コクヨ支部の柏木和代さん(59)は憤ります。

 コクヨは、来年十月に持ち株会社制への移行を前提に、工場や事業部を子会社化するカンパニー制を導入します。業績を競わせ、各カンパニーの収支と連動して賃金体系を整備するといいます。

 コクヨは、不況のなかでも黒字を続け、株主に三割の高配当をしている優良企業です。ため込み利益(内部留保)は一千九百二十七億九千万円、従業員一人あたり一億六百七十五万円にも達しています。大阪に本社を持つ大企業では、ダントツです。

 黒田社長は「経営者として強い決意を持って臨んでいる。平成十六年(〇四年)度には、営業利益百六十四億円、売上総利益率32・8%を達成する」と労資交渉で発言しています。あるのは利潤第一主義だけです。

 コクヨ労働組合の野中善文委員長も「何がなんでも構造改革を成功させなければならない。できることはすべて行っていく」と同調しています。

 党コクヨ支部は、くり返したたかいをよびかけています。

 「労働者に犠牲を押しつけ、地域経済を破壊する身勝手は許せません」「辞めれば会社の思うつぼ。家族のためにもがんばりましょう」―。

 党支部は六月十六日、工場門前で職場新聞「リフト」を配布しました。

 にっこり笑って手を差し出す青年。労働者も管理職も受けとっていきます。六月号では、次のような切実な声を紹介しています。

一時金出ぬ

 「会社は若い人に『滋賀へ行くか、辞めるかはっきりせよ。辞めるなら六月中に辞めよ。辞める者に一時金を出す気はない』といった。やり方が汚い」「毎週帰宅したいが、四千円旅費がかかる。帰宅費用の回数を増やしてほしい。独身者に出さないのはおかしい」

 「リフト」は、月に三度、四度と発行するケースもあります。

 労働者からは「ぼくらのことをよく取り上げてくれている。滋賀の実態をもっと書いてほしい」と期待が寄せられています。「『リフト』を読まないと、部下が何を考えているか、わからない」という管理職もいます。

 支部員の岩崎八重子さん(59)はいいます。「職場の仲間は『無法をてんこ盛りしたコクヨの横暴をなんとかしてほしい』と痛切な声をあげています。『リフト』をどんどん出して、労働者いじめをやめさせたい」


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