日本共産党

2003年6月27日(金)「しんぶん赤旗」

坂井衆院議員 脅し、たかり

規正法違反事件東京地裁初公判 検察側が冒陳

“若草色のセルシオ欲しい”

“もっと出せ 仕事なくすぞ”


 約一億六千八百万円の献金を不正処理し、国から政策秘書給与を詐取したとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)と詐欺の罪に問われた衆院議員坂井隆憲被告(55)=自民除名、佐賀一区=と政策秘書塩野谷晶被告(38)の初公判が二十六日、東京地裁(井上弘通裁判長)で開かれ、検察側は坂井被告が金を執拗(しつよう)に要求した実態をなまなましく明らかにしました。


 冒頭陳述で、検察側は、坂井被告が職業訓練会社「日本マンパワー」に対し、「メーンバンクの変更などで助力した見返りに事務所経費、秘書給与、高級車などの肩代わりを執拗に要求した」と指摘し、その手口を示しました。

 ――「車がほしい。公用車のみではいろいろ不便だ」「車種はセルシオ」「色は若草色」と指定。七百万円で国産最高級車を提供させ、自動車損害保険料など百万円も負担させる。

 ――「日本マンパワー」が坂井被告秘書給与の負担額を減らし始めると、坂井被告は「このごろは随分減っているじゃないか。ちゃんとしてくれないと困る」などと不満をいい、相手がこれに納得しないと「あなたのところの仕事をできなくすることもできるんだ」と脅して執拗に要求する。

 坂井被告は、こうした利益供与にたいし、領収証を発行しないよう秘書の塩野谷被告に指示、収支報告書も自ら確認していました。塩野谷被告は、捜査の手が伸びるのを恐れ、「まずいものは処分しましょう」と関連書類をシュレッダーで処分しています。

 また、秘書給与詐欺をめぐっては、塩野谷被告が公認会計士に「名前を貸してください」と要請し、坂井被告も「損はさせない。うまくやってください」と依頼しました。坂井被告は罪状認否で、規正法違反罪について「塩野谷との共謀はない。虚偽記載はない」などと否認。寄付ごとに否認の理由を記載した一覧表を提出しました。詐欺罪では、秘書登録した公認会計士について「採用の意思はあった」として否認。塩野谷被告も共謀を否定しました。


解説

企業の取引に介在ヤミ献金吸い上げ

 衆院議員坂井隆憲被告の事件で、検察側の冒頭陳述から浮かびあがってくるのは、ブローカー並みの手口で企業の利益からヤミ献金を吸い上げる自民議員の姿です。

 坂井被告は、職業訓練会社「日本マンパワー」のメーンバンク変更という民間の取引に介在して同社の利益のために「口利き」し、ヤミ献金を得ました。

 この手口は国会議員の「職務」にたいするワイロや、役所への「口利き」にたいする報酬とは違う巧妙なもの。しかし、実態からいえば、まさに利益を得た企業からの見返りであり、“ワイロ”。

 いま永田町には、「役所へ直接『口利き』をするより、元請けゼネコンに下請け業者を紹介するなどの民間取引への介在の方が安心」(閣僚経験者秘書)などという声があります。その「口利き」へのお礼として献金などを受けている政治家も少なくありません。

 こうした実態は、企業献金が本質的にはワイロであることを示すもの。この手口が今回、政治資金規正法で摘発されたことに捜査の意義があります。与党が同法の献金公開基準を緩め、骨抜きにしようとしているのは、まさに国民の期待を裏切るものです。

 山本豊彦記者


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp