2003年6月26日(木)「しんぶん赤旗」
愛知県立田村の住民が、稼働すればダイオキシンの飛散で深刻な健康被害を受ける恐れがあるなどとして、町内に産業廃棄物処理施設の建設を計画した民間業者を相手取り、建設差し止めを求めていた裁判で、名古屋地裁(佐久間邦夫裁判長)は二十五日、住民側の訴えを全面的に認めて、「建設してはならない」との判決を下しました。
問題の処理施設は、同村大字早尾字西苗場三三に計画されている施設。事業者は岐阜市にある株式会社成和です。
原告・住民側は一九九八年十月に提訴。原告は、団長の水谷清さん(45)ら計画地点周辺五百メートル内に暮らす十七人。裁判でダイオキシン汚染の危険性とともに、成和は組織暴力団との密接なつながりを指摘され、そのグループ会社が産廃の不法投棄で摘発されているなどとして、施設が運転された場合、周辺住民の命と健康が脅かされる危険性が払しょくできない―と訴えました。
判決は「被告は本件施設を適切に維持管理し得る能力、適格性があるものと認めることはできない」などとしました。
原告側の長谷川一裕弁護士は「判決は画期的だ。県の許可を受けた施設の事前差し止めが本訴で認められたのは大きな意義がある」といいます。