日本共産党

2003年6月25日(水)「しんぶん赤旗」

国立大法人化 学費値上げ招く

文科省は「35%増」提示も

学生大会、反対決議相次ぐ


 「学費の値上げは、国立大の良さがなくなる」「ますますお金がある人だけ大学に入り、不平等化が進む」――学生の中で、国立大の法人化により学費が上がるのではないかという不安がひろがっています。東大教養学部、一橋大、学芸大、信州大の学生自治会の学生大会などで、法人法案反対の決議があいついで上がっています。

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国立大学法人法案の廃案をと銀座街をパレードする大学人たち=7日、東京・中央区

「すえ置くとは 明言できない」

 国立大学の学費は、今は国会の審議で全国一律に決まっていますが、法人化後は、文部科学省令によって、標準額と範囲が決められ、その範囲内で、各大学法人が決めることになります。

 文科省は、国会の審議で授業料についての質問にたいして、標準額は現行の額(五十二万八百円)をベースに検討中と答えるだけで、範囲は明らかにしようとしません。しかし、実際は、昨年十一月に七十万六千二百円までの値上げ(35%増)を認める案を大学に示しています。

 国立大学は法人化と同時に、合計約一兆三千億円の借金を抱え込みます。日本共産党・石井郁子議員の追及により、この借金返済の影響で学費値上げとなる可能性もあることが、明らかになりました。

 また、文科省は、国会答弁の中で、この間、一年おきに授業料を上げてきたことから、「完全にすえ置くとは明言できない」と答えました。

 私立大学の学費が上がれば、国立大学の値上げも容認するのかどうかについては、「私学が上がっていくかどうか」と答えるだけで、国立大の値上げを否定しませんでした。また、石井郁子議員の追及で、法科大学院の授業料は上限を設けないことを検討していることが明らかになりました。

大学学長の半数「授業料上がる」

 そもそも、法案のしくみからみて学費の値上げは必至です。

 大学の設置者が国から法人に変わることで直接の財政責任は法人に移ります。

 国の財政責任は、法人に必要な金額を「交付することができる」という程度に後退します。各大学は自己収入を拡大せざるをえなくなります。

 共同通信が国立大学長に最近行ったアンケートによると、10%の学長が「授業料は全般として上がる」と答え、40%が「学部間で差がつき、上がる学部もでてくる」と回答しています。

 また、49%の学長が「外部資金が獲得できるか不安」と答え、53%が大都市部と地方の格差拡大を懸念しています。外部資金を得にくい地方大学にとっては、自己収入増のため授業料値上げに頼らざるをえない、ということになりかねません。

 法人法案の審議は二十六日にも再開するとみられています。学費の高騰をまねく国立大学法人化は、徹底審議のうえ廃案にすべきだとの声がひろがっています。


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