2003年6月21日(土)「しんぶん赤旗」
沖縄県の「泡瀬干潟を守る連絡会」は二十日、市民の強い反対の声を押し切り、国、県などが埋め立て工事をすすめている中城湾泡瀬地区(沖縄市)で、新種の可能性のある海草「ホソウミヒルモ(仮称)」が発見されたと発表しました。
同会によると、海草研究所主任研究員の新井章吾さんが発見したもので、第一期埋め立て予定地内の浅海域で、海草のウミヒルモやヒメウミヒルモが群生しているなかに、ごく少数生息していました。葉の形が似ているヒメウミヒルモと比べ、茎から葉までの部分(葉柄)が長く、表面に毛がないのが特徴です。
今後、秋口に咲く花や種子を観察して類似種と比較するなどして、新種かどうかの最終的な判断が行われます。
会見した小橋川共男共同代表らは、「県は環境影響評価書にある知事意見を踏まえ、(事業者の)沖縄総合事務局に対し、早急に適切な保全措置をとるように要請すべきだ」と強調し、埋め立ての即時中止を求めました。
沖縄県内各地で広く生息するウミヒルモは、ジュゴンのえさとして知られています。
ヒメウミヒルモは泡瀬のほかに、沖縄北部の本部(もとぶ)町、金武(きん)町などで発見されており、沖縄県版のレットデータブックでは「危急種」、環境省版では「絶滅危惧(ぐ)II類」に指定されています。
今回発見された「ホソウミヒルモ(仮称)」は、ヒメウミヒルモより生息範囲が狭く、生育量も少ないため、「泡瀬干潟を守る連絡会」は「絶滅危惧I類に指定されるべきだ」と主張しています。
発見者の新井さんは「新種かどうかにかかわらず、貴重なものであることは間違いない。科学的な調査をすべて終えるまでは工事はすすめるべきではない」と話しています。