2003年6月21日(土)「しんぶん赤旗」
一九八七年の国鉄の分割・民営化のさい、JRを不採用になった国労や全動労(現・建交労鉄道本部)など千四十七人の採用差別問題で、ILO(国際労働機関)結社の自由委員会は二十日、日本政府に対し、新たな勧告を出しました。
二〇〇二年十月の全動労事件での東京高裁判決が初めて「JR各社に責任がある」と認める一方、「不当労働行為にあたらない」とのべたのに対し、勧告は「国労や建交労の民営化計画への反対がまさに再雇用を決定する上での一要因であったと裁定した」と指摘。そのうえで「結社の自由原則、採用における差別待遇の点からきわめて重要な問題であり、政府によって取り組まれるべきである」とのべています。
「不当労働行為にあたらない」とした高裁判決が、団結権を保障したILO第九八号条約(日本は一九五三年に批准)に反し、「国際的にもまったく通用しない反動判決であることが改めて鮮明になった」(熊谷金道・全労連国鉄闘争本部長の談話)ものです。
ILOはこれまで、九九年十一月と二〇〇〇年十一月に勧告を出し、結社の自由委員会も〇一年六月と〇二年三月に報告を出し、いずれも公正な保障や満足のいく解決へ政府やJRが努力するよう求めてきました。
今回の勧告も、政府や関係当事者が「可能な限り多くの労働者に受け入れられる公正な解決を見出す努力を行う」「すでに死亡または退職年齢を過ぎた労働者の数からみて、…いよいよ緊急性を要する」と厳しく要求しています。