2003年6月21日(土)「しんぶん赤旗」
大阪証券取引所(大証、大阪市中央区)が関連会社を使った仮装売買疑惑で、大阪地検特捜部と証券取引等監視委員会は二十日、証券取引法違反(相場操縦)の疑いで、大証と野口卓夫元副理事長(66)宅や関連会社などを家宅捜索、強制捜査に乗り出しました。
監視委が取引所を捜索するのは一九九二年の設立以来初めて。疑惑は取引所幹部・大蔵OBが仮装売買によって市場の公正をねじ曲げるという前例のない事件に発展しました。この疑惑は日本共産党国会議員団が国会で最初に追及、独自調査をもとに全容解明を政府に求めてきました。
関係者によると、野口元副理事長は、九七年に東京証券取引所(東証)と同時スタートとなった「個別株オプション」取引で、東証より優位に立とうと、出来高の水増しを計画。理事会に無断で設立した関連投資会社「ロイトファクス」(清算)を使い、現在大証社長の巽悟朗氏が社長をしていた光世証券や仮装取引の受け皿として大証が設立した日本電子証券に「売り」と「買い」を同数で注文。仮装売買を繰り返したとされます。
証券取引法は「売り」と「買い」が同数になるような、株式やオプションの取得を目的としない相場操縦を禁止しています。今回の仮装売買は総額二十六億円にのぼりますが、その半分は仮装売買の受け皿として設立された日本電子証券に集中しました。
野口元副理事長は関連会社十一社を無断で設立した問題で、大証から告訴・告発されています。野口元副理事長は六四年に旧大蔵省入省のキャリアOB。福岡国税局長や税務大学校長を経て、退官後の九三年、大証理事に就任。九九年に副理事長に就任しますが、関連会社の設立問題で二〇〇〇年六月に辞任しています。