日本共産党

2003年6月18日(水)「しんぶん赤旗」

違憲のイラク派兵狙う会期延長

穀田国対委員長の反対討論

衆院本会議


 十七日の衆院本会議で、日本共産党の穀田恵二国対委員長がおこなった、会期延長にたいする反対討論(大要)は、次のとおりです。

 私は、日本共産党を代表して、第百五十六通常国会の会期を四十日間延長することに断固反対の討論をおこないます。

 会期延長問題にあたって、まず、今通常国会が、どういう国会だったのかが、問われなければなりません。

 この国会に求められたのは、第一に、深刻な不況とゆきづまる経済のもとで、国民生活を守り、日本経済を再建する道筋をつけることであります。同時に、アメリカのイラク戦争のもとで世界の平和秩序がするどく問われたのであります。

国民の声には一顧だにせず

 ところが、小泉内閣と与党三党は、国民負担増の中止、健康保険本人三割負担の凍結をもとめる国民の声には一顧だにせず、日本経済の破たんをいっそう深刻なものにしたのであります。

 イラク問題では、国連憲章違反の米英によるイラク戦争にたいして、小泉内閣はいち早く「戦争支持」を表明し、国会では、アメリカがアジアで起こす先制攻撃戦争に自衛隊が武力行使で参加し、国民を総動員する体制をつくる、武力攻撃事態法を押し通したのであります。

 しかし、小泉内閣のすすめるこの道は、世界の平和の流れに逆行するものでしかありません。

 これ以上、国民と乖離(かいり)し、国会内での多数を頼んで国民生活無視の悪法を推進することはやめるべきであり、憲法九条のじゅうりんを許さない、このことが、いま国会に求められているのであります。

 今国会は、憲法と国会法の原則にしたがって、会期を閉じるべきです。

 憲法は、議会制民主主義の基本として会期制の原則を定め、国会法第六八条は「会期中に議決に至らなかった案件は、後会に継続しない」と定めています。政府・与党はこの定めを厳守すべきであります。

議会制民主主義最低限のルール

 労基法改悪案、国立大学法人法案、人権擁護法案、そして生命保険の利率引き下げ法案など、いまなお成立していない法案は、審議をつうじて重大な問題点が明らかになり、それにたいして国民的な批判があるからであります。これらの法案の成立を図りたいというなら、国会を一度閉じて、国民の声にこたえるものに内容を練り直し、改めて国会に提出する、これが議会制民主主義の最低限のルールです。

 ましてや、会期末に新たな法案をもちだして、それを理由に会期を延長するなど、もってのほかであります。

 政府・与党は、会期の四十日間延長によって、「イラク特別措置法案」と「テロ対策特別措置法の延長法案」を「必ず成立させる」としていますが、容認できません。

イラク特措法は真の復興に逆行

 小泉内閣は、「イラク特措法」は「イラク復興のため」だと称していますが、その内容は、米英軍による無法なイラク戦争と軍事占領を追認し、軍事占領に日本の自衛隊を合流させようというものであります。法案は、「非戦闘地域の支援」に限るとしていますが、現実には戦闘地域と非戦闘地域を区別することは不可能です。軍事占領軍に参加する自衛隊は、イラクの国民に銃口をむけることになるのです。武力の行使を禁止し、交戦権を認めない日本国憲法に真っ向から反することは明白です。

 かかる憲法違反の疑いのある重大な法案を会期末に、国民からの請願受付を締め切った二日後に提出し、与党の多数の力で会期を延長しておし通そうというやり方は、議会制民主主義からいって到底許されません。

 みなさんに訴えたい。

 イラクの復興のために、国際社会に何がもとめられ、日本は何をなすべきか−−。いまこそ、冷静に考えるべきです。与党内からは「イラク戦争に賛成した流れからいって自衛隊派遣は当然だ」という意見も出されていますが、果たしてそれでいいのか。

 アメリカやイギリスでも、イラク戦争の最大の口実とされた大量破壊兵器がいまだにみつからないことが問題にされているではありませんか。イラクを軍事占領するアメリカの新植民地主義が大問題となっているのです。

 イラク国民が自らの手で国を再建し復興するためには、米英軍による軍事占領支配ではなく、国連が中心的役割を果たすことが不可欠です。アメリカのいうままに、軍事占領軍へ自衛隊を派兵することは、イラク国民の意思を尊重した真の復興に逆行する極めて有害なものであり、断じて許されません。

大幅な延長に断固反対する

 テロ特措法の二年延長も何をかいわんやです。この一年半の間、自衛隊補給艦から米軍艦船などに給油された燃料は約三十万キロリットル、約百十一億円にのぼりますが、自衛隊の活動内容の全容は国民に明らかにされず、またイラク攻撃任務の米軍への補給の疑惑も解明しないまま、ずるずると「二年延長」を提案する、小泉内閣の姿勢そのものが厳しく問われていることを指摘するものです。

 最後に、この十年余、歴代内閣のなかで、二年連続で通常国会の大幅な会期延長を企図し強行しようとしているのは、小泉内閣だけです。ましてや政局にからめて会期延長をうんぬんするなどとは、常軌を逸した国会運営といわなければなりません。

 アメリカの軍事占領に自衛隊を合流・参加させる、憲法違反の明白な法案を押し通すための国会会期の大幅延長に断固反対することを再度表明し、討論を終わります。


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