日本共産党

2003年6月18日(水)「しんぶん赤旗」

小泉政権 悪法成立へ

大幅延長2年連続強行


 二年連続の通常国会の延長は、鈴木善幸内閣(一九八〇年七月−八二年十一月)以来です。

 この十年間、予算などを審議する通常国会の会期延長は、今回を含めて四回しかありません(別項)。うち二回は小泉内閣です。会期幅も、五十七日間の延長で盗聴法や「日の丸・君が代」法などの悪法を次つぎ強行した九九年の小渕内閣に次ぐ四十日台の大幅延長です。

 小泉内閣は、昨年も四十二日間の大幅な会期延長を強行しました。会期末に与党単独で医療改悪法の委員会採決を行い、国会が混乱。成立が危ぶまれると会期を延長してごり押しし、有事関連法なども継続審議にさせたのです。

 今回の延長はさらに露骨で、会期末のどさくさに提出したイラク特措法案を成立させる皮算用をしたうえで議論せよ、と迫ってくるやり方です。

 議会制民主主義のルールを平然とふみにじる小泉内閣の退廃ぶりを示しています。(柳)


この10年間の通常国会の会期延長 

 ●142国会(1998年1月12日〜6月18日)第二次橋本内閣 8日間

 ●145国会(1999年1月19日〜8月13日)小渕内閣 57日間

 ●154国会(2002年1月21日〜7月31日)小泉内閣 42日間

 ●156国会(2003年1月20日〜7月28日)小泉内閣 40日間


延長の理由─説明できぬ与党

 会期延長を提案しながら、野党側から“なぜ四十日間の延長なのか”と聞かれた与党議員が即答できず、延長を決める十七日の議事運営が大幅にずれ込む事態となりました。憲法にも触れるイラク特別措置法案を通すための強引な国会運営や政局がらみの会期幅設定など、与党内の理屈で説明することもできず、延長になんの大義もないことが浮かび上がりました。

 与党三党から衆院に会期延長の申し入れがあったのは十六日午後八時すぎ。同八時十五分から始まった議院運営委員会理事会で、野党側は「四十日間延長」の根拠を質問しました。肝心かなめの問題なのに、当の自民党理事は「私は当事者じゃないから」と答えられず、再協議となりました。翌十七日になって、“PKO協力法、周辺事態法、テロ対策特別措置法などの審議経過からみて、四十日間がぎりぎり必要だ”と一応の理由をつけてきました。

 綿貫民輔議長自身、会期延長を十六日の議運委に諮問する際、「国民によく理解できるよう、与野党国対委員長、議運委員会でよく協議するように」と異例の発言をし、国民不在の延長論議に注文をつけたほどです。

 自民、公明、保守新は延長国会にイラク特措法案をはじめ悪法をずらりと並べています。これだけでも、今度の会期延長は国民にとって百害あって一利なしです。

 しかも、小泉首相が会期延長の理由としたイラク特措法案を国会に提出しながら、自衛隊派遣の基本計画に必要となるイラク調査団はこれから派遣するという泥縄ぶりです。時限立法のテロ特措法も期限切れは十一月で、急いで審議しなければならない理由はありません。

 今回の延長は、まともな理由もないままに勝手な口実で会期を大幅に延ばし、悪法だけを国民におしつける小泉政権の姿を示すものです。(俊)


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