日本共産党

2003年6月15日(日)「しんぶん赤旗」

生保利下げ法案

契約者の合意なく審議会も反対多数

根拠崩れた 強行許されない


 生命保険会社の破たん前に保険金の大幅カットを可能にする保険業法改悪案が参院で審議中です。同法案は、金融審議会(政府の諮問機関)が国民・契約者の「合意」を前提として法案提出のゴーサインをだしていたもの。しかし、衆院の審議では「合意」の具体的根拠が何もないことが明らかになりました。(佐藤 高志記者)


議事録にみる5月12日金融審議会
第2分科会での各委員の態度

発言者名肩書態度
○賛成、△保留、×反対
高橋伸子生活経済ジャーナリスト×
原 早苗埼玉大学経済学部非常勤講師×
山下友信東京大学大学院法学政治学研究科教授
池尾和人慶応義塾大学経済学部教授×
川本裕子マッキンゼー シニア・エクスパート×
今松英悦毎日新聞社論説委員×
寺阪元之住友生命保険相互会社専務取締役
岩原紳作東京大学大学院法学政治学研究科教授
翁 百合日本総合研究所主席研究員
成川秀明日本労働組合総連合会総合政策局長×
(日本共産党 佐々木憲昭議員調べ)

国民合意が前提

 保険業法改悪案は、契約者が受け取る保険金を大幅に削減する予定利率引き下げを可能にするものです。貯蓄性の高い保険契約者が対象で、金融庁試算でも保険金が最大四割カットされます。

 金融審議会(堀内昭義第二部会長・中央大学総合政策学部教授)が二〇〇一年におこなったパブリックコメント(意見公募)では、意見発表者の九割が制度導入に反対しました。

 このため、金融審議会は、“法案提出には国民の合意が必要”との最終結論(二〇〇一年九月)を出しました。ところが、政府・与党は、この歯止めを無視して法案提出を進めました。与党はいっせい地方選挙後になって突然、法案化に踏みきりました。

政府・与党の暴挙

 政府は、法案化を決めた与党の意向をうけ、五月十二日に金融審議会を緊急招集しました。この一日だけで法案提出の合意を取りつけようとしたのです。

 しかし、この日の審議会では、反対論が噴出しました。

 「金融審議会がエンドース(支持)した政策であるといわれると困る」(池尾和人委員)

 「今の生命保険会社の経営は危険でないと金融庁はいっているのに、予定利率引き下げを今なぜするのか。納得感はない」(川本祐子委員)

 それでも法案化を押しきろうとする政府(事務局)の強引な提案に堀内部会長は、「事務局がどう動こうと勝手」(同日、議事録から)と“さじ”を投げたのです。

 この経過を日本共産党の佐々木憲昭議員が今月六日の衆院財務金融委員会で追及しました。

 「国民・契約者の合意も得られず、審議会も反対が多数。にもかかわらず、法案を強引に進めることは許されない」

 答弁にたった竹中平蔵金融担当相は金融審議会で賛成が多数だったとは言えませんでした。さらに十三日の参院本会議でも、竹中担当相は「審議を通じて国民の理解を得るよう努力する」(日本共産党の池田幹幸議員への答弁)としか答えられず、国民の合意がまったくないことがはっきりしました。

国民の声を聞け

 日本共産党議員には、予定利率引き下げに反対する国民・契約者から数多くの声が寄せられています。

 関西在住の五十代の方は、「(予定利率引き下げが行われれば)生活設計はめちゃくちゃです。『解約すればよいでしょう』と言われても、私の場合、あと三年余りで満期の一括受け取り養老保険です。こんな時期に解約すれば多額の損失がでます」と訴えます。

 さらに、「どうぞもっとこの件について、取り上げて」(六十代の女性)「廃案をめざしてがんばってください」(五十代の女性)という激励の声も寄せられています。

 日本共産党の池田幹幸議員は十三日の参院本会議で、予定利率引き下げ法案は、小泉内閣の失政や保険会社の経営失敗のツケを何の責任もない保険契約者である国民に押し付ける問題法案だ、と指摘。「必ず廃案に追い込む」と述べました。

 参議院での審議は、これからです。政府・与党は国民・契約者の声に真摯(しんし)に耳を傾け、国民・契約者負担を一方的におしつける予定利率引き下げ法案を撤回すべきです。


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