2003年6月15日(日)「しんぶん赤旗」
連立入りしてから「平和」「福祉」「清潔」といった“看板”がすっかりはげ落ちた公明党が、また自民党の悪政を後押ししています。しかも、自らの主張を一転させたことについて、国民にはまともな説明ができないでいます。
米英軍による無法な先制攻撃の戦争を容認した公明党は、イラクへの自衛隊派遣もいち早く支持。今回のイラク特措法案も自民党に先だって了承しました。戦争の口実とされた大量破壊兵器がいまだ発見されず、戦争の正当性がゆらいでいるにもかかわらずです。
しかも、神崎武法代表は「武器・弾薬を除外すると、恐らく一つひとつの貨物について武器・弾薬が入っていないのかどうか確認するという煩瑣(はんさ)な作業になる」(十一日)とのべ、これまで海外に展開した自衛隊部隊が行ったことのない武器・弾薬の陸上輸送まで認める考えを示しました。
同党は、一昨年のテロ特措法の際に、海上での武器・弾薬輸送には「ディエゴ・ガルシア島はアフガニスタンから四千キロも離れており、(海上での武器・弾薬)輸送は問題ない」(神崎氏、十月十日)と“お墨付き”を与えました。しかし、陸上輸送については「公明党内の議論でも、陸上輸送は非常に危険度が増すので、『慎重の上にも慎重を期すべきだ』との意見がありました」(冬柴鉄三幹事長、公明新聞〇一年十月十七日付)と説明し、与党幹事長会談で見送られた経過があります。
今回のイラク特措法案ではこうした姿勢を一転させ、いちいち武器・弾薬を確認していたら「煩瑣な作業になる」などとして賛成したのです。アフガニスタン周辺国では「危険」でも、米英軍への抵抗が散発しているイラク国内は「危険」ではないというのでしょうか。
企業団体献金の公開基準を現行年間五万円から月二万円以内は年二十四万円に引き上げる問題でも、最終決着を十七日に持ち越したものの、公明党は「今国会で合意に達するよう努力すべきではないか」(神崎氏、十一日)と自民党案に賛成する方向です。
ところが、この問題でも、同党は「政治改革は透明性を高める方向にあり、献金企業名の公開基準の引き上げは逆行している。匿名性を高めれば(政治献金が)集めやすくなるという議論は疑問だ」(井上義久幹事長代理、公明新聞五月十四日付)と反対していました。この態度を一変させながら、冬柴幹事長は「(透明性と)バッティングするのか、この程度であれば、透明性はある程度確保できたと見るのか、の政治判断だ」(同前十三日付)と居直るだけで、まともな説明はできません。
“非公開は毎月二万円の会費だけで銀行振り込みなど検証可能な形で透明性が担保される”などと言い訳していますが、公開される「献金」か非公開の「会費」かは政治家の判断次第。国民には「振り込み」などの検証もできません。
与党の献金規制論議の出発点だった公共事業受注企業からの献金規制は、自民党の主張にそって棚上げしたうえ、今度は「逆行」とまでいっていた公開基準引き上げに加担するところまできたのです。
どんな思惑があるにせよ、政党の根本的姿勢が問われる問題で、公明党が自民党の悪政の「先兵」であることは間違いありません。