2003年6月11日(水)「しんぶん赤旗」
「希望・早期退職者」を募集した上場企業は調査を開始した一九九八年から二〇〇三年三月までで六百七十三社に上ることが、民間信用調査会社の東京商工リサーチの調べで分かりました。
募集年齢は働き盛りの四十歳以上に集中。業種別では、電気機器が多いのが特徴です。戦後最悪の失業率の中で大手企業のリストラが雇用不安の高まりに拍車をかけています。
この調査は、東京商工リサーチが『会社情報に関する公開資料』にもとづき毎年発表しているもの。
九八年は東京証券取引所に上場している企業だけが対象。その後、調査対象を拡大し地方上場、店頭上場企業も含んでいます。
公表された年齢条件付き募集をみると四十五歳以上がもっとも多く百二十四社で、四十歳以上も百四社に達しています。リストラの対象になっているこの年代は、住宅ローンを抱え、子どもの教育費も重くなる世代で、中高年にとっては受難の時代です。
業種別では、電気機器が百十二社と多く、建設が八十八社、機械は六十一社となっています。
百人以上の「希望退職」を募集した企業数は三百十一社です。また、一千人以上の「希望退職」を募集した主な企業をみると、松下電器(グループ四社を含む〇一年十一月末現在)では九千人、いすゞ自動車は四千二百六十六人(〇二年)、マツダは二千二百十三人(〇一年)、三菱自動車は二千二十八人(〇一年)―などとなっています。
東京商工リサーチの関雅史課長補佐は「希望退職募集は、企業の事業見直しと不採算部門の縮小・撤退などにともなっておこなわれています。最近は、合併や部門提携など急速な業界再編の動きも影響しています。景気低迷が続くなか、今後も希望・早期退職募集が実施されていくとみられます」と指摘します。