2003年6月6日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の小沢和秋議員は四日の衆院厚生労働委員会で、裁量労働制によって「ただ働き」を野放しにする厚労省の姿勢を批判しました。
現行の企画型裁量労働制では、実際に働いた時間と関係なく“働いたとみなす”「みなし労働時間」を労使委員会で決めることになっています。小沢氏は、多くの事業場で実際は四十―五十時間残業しているにもかかわらず、みなし手当は月二十時間程度の残業分しか払われないため、二十―三十時間の残業分は恒常的にただ働きになっていると指摘。「支払わなくていいというのが厚労省の考えか」と迫りました。
松崎朗労働基準局長は、「裁量労働制は具体的な時間管理を労働者にまかせるものであるから、(使用者は)法定労働時間を超えた場合の手当の支払いに責務があるわけではない」などと答弁しました。小沢氏が重ねて、「みなし労働時間と実労働時間のギャップを放っておいていいのか。指導すべきではないか」と追及すると、松崎局長は「指導することは考えていない」とのべ、「労使委員会で実態を踏まえ、決めてもらうことが趣旨だ。ずれが生じたら、企業内や労使委員会で対応してもらう」と、労使委員会まかせの態度を示しました。
改悪案は、ただ働きが野放しになりかねない裁量労働制をホワイトカラー全体に拡大し、導入要件も緩和しようとしています。小沢氏は、「指導上の方向性も示せないのでは、到底納得できない」と批判しました。