2003年6月5日(木)「しんぶん赤旗」
労働基準法改悪法案(政府案)と、修正案(自民、民主など五会派提出)にたいして、日本共産党の山口富男議員が四日の衆院厚生労働委員会でおこなった討論(大要)は次の通りです。
日本共産党を代表して労働基準法の一部を改正する法律案と、自民、民主、公明、自由、保守新党提出の修正案についての討論をおこないます。
政府案に反対する第一の理由は、有期雇用契約の期間を現行の一年から三年に、専門的知識を有する労働者と六十歳以上の労働者には三年を五年に延長することで、その範囲内の雇用期間であれば、契約期間満了を理由として、いわば合法的な解雇をできるようにするからです。これによって労働者の雇用はいっそう不安定化され、事実上の若年定年制の復活につながるものです。
第二に、使用者は労働者を解雇することができるという解雇規定の新設です。憲法二七条にもとづいて「契約自由」の原則を修正し、労働者の最低の労働条件を法律で定めることによって、国が労働者の保護をはかるという労働基準法の性格を解雇自由化法に変え、裁判での立証責任を労働者側に重くするものです。
この規定が、「合理的理由のない解雇は乱用であり無効」とする方向で修正されるのは野党が求めてきたことであり、当然のことです。
第三に裁量労働制の適用事業場の拡大、導入要件の大幅な緩和です。
裁量労働制の拡大は、ホワイトカラー労働者全体への労働時間規制を適用除外にしていく一里塚であり、サービス残業を合法化するだけでなく、労働者に長時間労働を押しつけ、過労死を増やすことになります。
労働基準法改悪法案には、全労連、連合、全労協など労働団体のみならず日弁連、労働弁護団、自由法曹団などの法曹団体からも厳しい批判が寄せられ、改悪反対の運動は全国に広がりました。
日本共産党は、このような各界の意見と運動を踏まえ、民主党、自由党、社民党とともに野党四党で三回にわたる法案修正の協議を重ね、解雇規定と有期雇用の部分を修正することで一致しました。五会派共同提出の修正案に賛成であることを表明し、修正部分を除く政府案には反対するものです。とりわけ、裁量労働制の拡大と導入要件の緩和、有期雇用期間の延長については認めることはできません。この部分の撤回を強く要求し討論とします。