2003年6月5日(木)「しんぶん赤旗」
四年ぶりに労働法制の大改悪をねらう労働基準法改悪案は四日の衆院厚生労働委員会で、使用者による解雇権を明示した条項を削除するなどの修正が加えられ、賛成多数で可決されました。
日本共産党は修正案に賛成し、それをのぞく政府案に反対しました。民主、自由は与党三党と修正案を共同提案し、政府案にも賛成。社民党は修正案に賛成、政府案に反対しました。
政府案は、(1)使用者は労働者を解雇できる。ただし、合理的な理由がない場合は権利乱用で無効とする(2)契約社員など有期雇用の契約期間の上限を一年から三年に延長する(3)裁量労働制の対象を拡大し、導入要件も大幅緩和する−というもの。
解雇を「原則自由」とし、不安定雇用とサービス残業に拍車をかける内容でした。
修正案は、野党四党で一致した解雇権と有期雇用部分での修正協議を反映したもの。「解雇できる」との規定を削除し、「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を乱用したものとして無効とする」と規定。最高裁判決で確立した「解雇権の乱用禁止」規定を初めて条文化しました。
有期雇用については、三年契約が「人身拘束」とならないよう、契約一年後から「いつでも退職できる」としました。
採決に先立つ討論で日本共産党の山口富男議員は、解雇権規定の修正は野党が求めてきたことであり賛成だと表明。有期雇用の延長は「雇用をいっそう不安定化し、“若年定年制”の復活につながる」とのべ、裁量労働制の拡大は「ホワイトカラー労働者全体への労働時間規制を適用除外にしていく一里塚」だと指摘し、両部分の撤回を強く求めました。