2003年6月3日(火)「しんぶん赤旗」
中小業者でつくる全国商工団体連合会(全商連)は、有事法制の廃案を求め五月八日から連日、国会議員への要請行動を続けています。緊迫した情勢のもと、会員たちは「平和こそ、商売繁盛の土台」とおよそ七十万人分の署名を集めています。二日、国会には東京都内の中小業者およそ十人が集まりました。
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「うちには民商(民主商工会)の会員がしょっちゅう集まってくるんだ。話になるのは不況のことだよ。それも“あす首をくくるか、あさって自殺するか”なんて話だ。国会で人殺しの相談なんかするより、景気をなんとかしてくれよ」
東京・品川区で中華料理店を営む藤森旭さん(65)は、はきすてるようにいいました。藤森さん宅にくる会員のなかには、三日も一週間も仕事がこない人もいます。「憲法二五条(生存権)や九条を守ってほしい」。訴えは切実です。
有事法案には、多くの中小業者に影響を与える中身が盛り込まれています。運送・建設関係は自衛隊への協力が求められます。販売業などは「物資保管義務」が課せられ、観光・旅行業など“平和産業”と呼ばれる分野は売り上げ減に直結します。
「床屋も平和産業なんです」。夫婦で国会に来た小熊正造さん(62)、綾子さん(66)は話します。二人は八王子市で理容業をしています。
綾子さんはいいます。「父も理髪業でした。でも、戦争中はみんな丸刈りでしょう? 仕事になりませんでした。空襲で逃げ回ったことを覚えています。絶対に戦争反対です。イラクでは今でもクラスター爆弾で子どもたちが傷ついています。同じ爆弾を日本も持っているといいます。どうして、人を殺すことなど話し合うのでしょう」
要請では、参院の有事法制特別委員会に所属する議員に「徹底審議を」と求めました。「議員個人としては通したいと思っていません」という秘書、「山のように(反対を求める)ファクスがきているんです」という事務所…。先週も参加したという品川区の女性会員は、「対応が変わってきているように思います。平和のためにたたかう人を増やしたい」と話しました。