2003年6月3日(火)「しんぶん赤旗」
韓国の与党・新千年民主党は二日、麻生太郎・自民党政調会長の発言について、「侵略と過去の歴史を謝罪・反省し、韓(朝鮮)半島を含む世界平和構築に乗り出すことが、日本と日本の政治家の義務」だと指摘し、麻生氏に対し「妄言の撤回と謝罪」を求めるコメントを発表しました。
野党ハンナラ党は、「未来志向的に発展すべき韓日関係に冷や水を浴びせるもの」と批判し、麻生氏が韓国国民に謝罪するよう要求。野党・民主労働党は、盧武鉉大統領に対し、「日本の政治家に厳重に警告すべきだ」と求めました。
日本共産党の市田忠義書記局長は二日、国会内で記者会見し、自民党の麻生太郎政調会長が行った朝鮮民族に対する「創氏改名」正当化発言について、「強引に日本の家族制度を押し付けるやり方をとり、望んでやられたというのは事実とまったく違う」と批判しました。
市田氏は、「創氏改名」が、一九四〇年二月に施行された朝鮮民事令の「改正」で、強制的に日本式の氏を名乗らせたものであり、「皇民化政策」の一環だと指摘。「創氏改名」を強制する法令が施行されても、日本式の氏を届け出た朝鮮人はごく少数であったため、当局がさまざまな手段を動員したことや、届け出をしなかった人は、本人の意思を問わずに「法定創氏」として、役場で勝手に氏を変えられた事実をあげました。
その上で、「『創氏改名』は、日本の強制的な植民地支配の一環として行われたものであり、日本政府も、橋本内閣当時に『多くの韓国の方々の心を傷つけた』と言明している。これまで自民党政府ですら“まずかった”といっていることを、自民党の政調会長が語ったところに重大な問題がある」とのべました。
自民党の麻生太郎政調会長は二日夕、「創氏改名」に関する自らの発言について「日韓関係にそごを来すことになるのは遺憾だ、韓国国民に率直におわび申し上げる」と陳謝しました。党本部で記者団に語りました。
しかし、「歴史認識については日韓双方の学者らで話し合いを続けており、その経過を見守らないときちんとした発言はできない」とも語り、発言自体は撤回しない考えを示しました。
麻生氏の発言は、五月三十一日、東京大学での講演の中で行ったもの。
報道によれば、麻生氏は、創氏改名について、当時、朝鮮の人たちが日本人のパスポートをもらうと、名前に「金」などと書いてあり、朝鮮人と言われ、仕事がしにくかった、「だから(朝鮮人が)名字をくれと言ったのがそもそもの始まりだ」などと述べました。
麻生氏は、改憲右翼団体の中心となっている日本会議(三好達会長)と連携する日本会議国会議員懇談会会長を兼ね、侵略戦争を美化する“新しい教科書”づくり、首相の靖国参拝推進などにもかかわってきました。