2003年5月31日(土)「しんぶん赤旗」
自民党の伊吹文明元労相(衆院京都一区)が、みずから支部長を務める選挙区支部とは別にもうひとつ政党支部を持ち、二〇〇一年で選挙区支部の十倍以上、年間五千万円を超す企業献金を集めていたことが、本紙の調べでわかりました。現在、自民・公明など与党は一企業が一政党支部に献金できる上限を百五十万円にするなどの案を検討していますが、伊吹議員のような手法には何の制限にもなりません。
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政治資金規正法は、各議員が企業献金を受け入れる窓口を政党支部に限定しています。小選挙区で当選した自民党衆院議員の政党支部は通常、選挙区支部だけ。伊吹議員が支部長の「自民党京都府第一選挙区支部」がこれにあたります。
ところが、同議員の政策秘書が会計責任者を務める「自民党京都府明風支部」という支部が別にあることがわかりました。
支部の所在地は、「自民党京都府第一選挙区支部」や、同議員の公設第二秘書が会計責任者の政治団体「新風会」(いずれも京都府選管所管)と同じ。明らかに伊吹議員の支部です。
この「明風支部」の政治資金収支報告書によると一九九九年は企業・団体献金はゼロ。ところが、政治資金規正法「改正」で、資金管理団体への企業・団体献金が禁止された二〇〇〇年には一気に、六千六百三十三万円もの企業・団体献金を集めました。
この額は、伊吹議員の資金管理団体「明風会」(総務省所管)が九九年に集めた七千三百八十六万円とほぼ同じです。
さらに〇一年の企業・団体献金は、サラ金のプロミス(三十万円)、アイフル(十二万円)など三百社以上から五千二百四十三万円。同じ年の「第一選挙区支部」の企業・団体献金は四百二十万円ですから実に十倍以上の「財布」ということになります。
自民党の党則によると、同党の支部は、小選挙区選出衆院議員(候補者)の場合、選挙区支部とされています。
伊吹議員の戸井久雄政策秘書によると、「明風支部」の前身は、伊吹氏が当選したときからあった「三省社支部」という職域支部。規正法「改正」で企業献金を支部で受けることになったことにともない、「わかりやすいよう名称変更した」といいます。通常、職域支部は業界団体などにおかれるものですが、伊吹議員の場合は、事実上後援会に近いものです。
こんな手法は、法の「抜け穴」といえるもので、自民党や公明党などの政治資金「見直し」策も効果はありません。