日本共産党

2003年5月30日(金)「しんぶん赤旗」

有事法案 横須賀、福井で公聴会

呉東弁護士 “憲法改悪に匹敵する”

塚田助教授 “修正でも危険性不変”


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参考人の意見を聞く各党議員。手前は畑野君枝参院 議員=29日、参院有事特地方公聴会、横須賀市内

 参院有事法制特別委員会は二十九日、横須賀市(神奈川県)と福井市で、有事法制関連三法案の地方公聴会を開きました。

横須賀

 横須賀市での公聴会では、五人の公述人が意見をのべました。

 この中で、呉東正彦弁護士(横浜弁護士会基地問題調査研究部会長)は、有事三法案は「国民生活、国の統治機構のあり方に重大な変化、変質をもたらし、憲法改悪に匹敵する」と強調。有事法制の発動要件となる「武力攻撃事態」や「武力攻撃予測事態」の定義があいまいなため、米国の先制攻撃や、その予告によって緊張が高まった場合にも適用され、国全体が有事統制状態になる危険が高いとのべました。

 実際、石破茂防衛庁長官が「米国の先制攻撃でも法律は動く」と認めたことを挙げ、「憲法の平和原則に反し、政府自身の立場である『集団的自衛権の否認』への違反だ」と批判しました。

 呉東氏はまた、業務従事命令や自衛隊による土地・家屋の使用などを規定しているのは、国民の基本的人権を大きく制限すると指摘。地方自治体に「対処措置」の実施を強制的に指示する規定は、憲法の定める地方自治の本旨に反するとし、有事三法案の慎重審議・廃案を求めました。

 法案に賛意を示した沢田秀男・横須賀市長も「『武力攻撃予測事態』の定義は、何回説明を聞いても分からない。市民に理解してもらうのはむずかしい」と不満を表明。「国は、自治体に法案の内容を十分、理解できるようにつとめるべきだ」とのべ、国会での「十分な論議」を要求しました。

 日本共産党からは畑野君枝議員が質問に立ちました。

福井

 福井市での公聴会でも五人の公述人が意見をのべました。この中で塚田哲之・福井大学助教授は、与党と民主党との「修正」案でも、憲法の平和主義、人権保障、議会制民主主義などの点で問題点が解消されていないと指摘。参院での「慎重かつ徹底審議を」と求めました。

 塚田氏は、憲法学者の有志が十四日に「改めて廃案を強く訴える」と題したアピールを発表したことを紹介。「修正」案について「『武力攻撃予測事態』から『事態対処システム』が動き出す基本構造に変更がない」と批判しました。

 政府が定める対処基本方針の国会承認が、「予測事態」も含め「原則事後」となっていると指摘し、政府の戦争遂行に対する国会関与の「脆弱(ぜいじゃく)性」を強調しました。

 基本的人権の問題でも、法案が「修正」によっても、「予測事態」からの「人権制約の可能性を一般的に承認している」ことを批判しました。

 法案賛成の立場から陳述した同志社大学の村田晃嗣助教授は、米国がアジア太平洋地域でおこす「周辺事態」と、有事法制が発動される事態との関係について「両方の事態が重なる可能性が実際問題として一番高い」と指摘。「日本には米軍基地があり、米国(の戦争)に巻き込まれる可能性がまったくないわけではない」とのべました。日本共産党からは、小泉親司議員が質問しました。


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