2003年5月28日(水)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の紙智子議員は二十七日の参院農水委員会で、牛の出生場所、移動先などの履歴表示を義務付ける法案(トレーサビリティ法案)の対象から輸入牛肉がはずされている問題についてただしました。
法案はBSE(牛海綿状脳症)をきっかけに、牛肉の安全性への信頼を高めるために作られたものです。すべての国内牛に対し個体識別番号をつけ、生産・流通ルートを追跡できる仕組みです。
紙氏は、「牛肉のトレーサビリティシステムを導入することは必要だが、国内流通の六割以上を占める輸入牛肉が対象外とされることは問題だ」と追及しました。
農水省の須賀田菊仁生産局長は「(輸入肉はすべてBSE未発生国からであり)BSEが発生してない国(の牛)はフリー(安全)ということが推定できる」と答弁しました。
紙氏は、BSEが未発生で「安全」であったはずのカナダで今年一月、BSEが発生したことを指摘。カナダは全頭検査をやっているわけでもなく、未発生国というだけでは何の「安全」証明にもならないこと、米国に年間百万頭を超える牛を生体で輸出していると主張しました。そのうえで、日本の輸入牛肉の54%を米国が占めているとして、「(牛の出生地まで追跡できる)トレーサビリティがなければ、カナダ生まれの牛の肉が米国産として大量に日本に入ってくる」と追及しました。
亀井善之農水相は「米国にカナダ由来の牛肉は輸出を避けるよう要請している」と米国頼みの答弁に終始。紙氏は「消費者に顔を向けるなら輸入牛をトレーサビリティ対象とすることが不可欠だ」と重ねて強調しました。