2003年5月28日(水)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の井上哲士参院議員は二十七日の法務委員会で、心神喪失者処遇法案について質問し、検察官の委託で行われる現行の簡易鑑定の問題点を指摘して、与党案ではこれらの問題点の改善が全くはかられていないと批判しました。
井上氏は、起訴前簡易精神鑑定で、対象者が「犯行時に責任能力なし」と鑑定された場合、ほぼすべてが不起訴となっていることをあげ、「起訴・不起訴の分かれ目になっているのに、あまりに簡易鑑定に問題が多い」と指摘しました。
そのうえで、現行の起訴前簡易精神鑑定について、(1)どのような場合に検察が鑑定にまわすのか、統一的基準がなく、地域的なばらつきが大きい(最大二十倍以上)こと(2)鑑定医ひとりあたりの鑑定数の全国平均が四・九人なのに、一人で百人も鑑定する医師もおり、責任能力の有無についての判断基準が特定の医師により偏るおそれがあること(3)鑑定書の内容も、起訴の対象となる行為時の精神状況について「犯行時も現在と同様である」とされるだけで、一言の理由も示されないずさんなものが多いこと―などをあげ、鑑定システムの改善・充実を求めました。
法務省の樋渡利秋刑事局長は「さまざまな批判は承知している。指摘されている点については、検討する」と答えました。