2003年5月24日(土)「しんぶん赤旗」
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「戦争で平和はやってこない」。中学生の発言に会場はわき、「有事法制 やめろ!」のコールとリズムが響きました。東京・新宿区の明治公園で開かれた「STOP有事法制 5・23大集会」。参院で必ず廃案に−−。3万人の思いは一つです。
夜の集会にも関わらず幼子を抱いた若いママの姿があちこちに。
三十五歳のママさんスチュワーデスは早朝便のフライトを終え、二人の子どもを連れて駆けつけました。「子どもが保育園で『うーじほーせーはんたーい』って遊んでるらしいんです。先生に『うーじほうせいって?』と聞かれてしまった(笑い)。もちろんしっかり説明して、反対してくださいねってお願いしましたよ」と話します。
アフリカの民族楽器を持って参加した川崎市の織茂静子さん(58)は息子のサブさん(21)=大学生=と会場で合流。アフリカのトーキングドラムをたたく息子さんと演奏を楽しみながらデモ行進しました。サブさんは「言論の自由がなくなる有事法制は絶対反対です。アフガン戦争以降、戦争反対のことで親とよく話すようになってきました」。
街頭でピースメッセージとカンパを集めてきたという高知県の三人組。その一人「平和を願う市民の会」の和田比呂絵さん(26)=会社員=は、「第二次世界大戦のときのように日本がまた、有事法制によって加害者になるのはいや」といいます。イラク戦争を機に初めて平和活動に参加しました。「イラク戦争・有事法制反対のメッセージは三十メートルの模造紙十二本分になりました」と話します。
八歳のティアラちゃんと遊びながら参加したのは、クライツァー真理子さん(35)。大きなイヤリングがゆれます。
「インターネットで見てきました。両親が高齢で中国と朝鮮の引き揚げを体験しているんです。軍隊なんて民間人を守ってくれないと、八月のたびに戦争の話をきかされて、『またその話?』って思ってたけど、子どもができるとその気持ちがわかってきました。有事法の条文も目を通してみたけれど、言葉がずるい。わからないように、危険なことがかいてある」。仕事で参加できなかった夫はアメリカ人。いっしょにつくったデコレーションには、「ネオナチブッシュ」「参戦阻止」と書いてあります。
市民ピースネットワークやまなしの田嶋節枝さん(59)。「NO WAR」のおそろいのTシャツで娘さんの奈都子さんと参加しました。「与党と民主党の修正案はぎまん」と怒ります。
「命や暮らしが戦争にもっていかれようとしている軍事優先のときに人権なんかあったもんじゃない。廃案しかない」
アメリカ大使館前で「イラクの子どもたちを殺さないで」と訴えてきた和光中学(東京・町田)二年生の菱山南帆子さんが5・23大集会の壇上で切々と訴えました。
菱山さんは湾岸戦争のとき一歳半。お母さんは南帆子さんをおぶい、デモに参加しました。そんな幼い体験を話しながら、「もしイラクでその時、私と同じ年で生きのびた子が、今回の攻撃で殺されてしまうかもしれないと思ったら、いてもたってもいられなくなった」と語りました。
「戦争では平和はやってこないし、人間が絶対にしてはいけないこと。それなのに日本は戦争を支持し、加担しようとしています。私は有事法制に絶対反対です」と訴えると、参加者は「そうだ」と励ましました。