2003年5月23日(金)「しんぶん赤旗」
国立大学の設置者を法人とし、各大学の教育研究や経営にわたる目標・計画づくりに文科省が直接関与する国立大学法人法案が、二十二日衆院本会議で可決され、参院に送付されました。自民、公明、保守新党が賛成。日本共産党、民主党、自由党、社民党は反対しました。
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法案は、法人化(来年四月)後、各大学の教育研究から経営にわたる「中期目標」を文科相が定めるとしています。各大学は中期目標を達成するための「中期計画」を作成しますが、文科相はその内容変更を命じることができます。
目標・計画の達成状況は、文科省内に設置される大学評価委員会および総務省によって六年ごとに評価されます。その評価を運営交付金の配分に直結させ、財政面からも国の介入、関与を強めるしくみとなっています。
国立大学の設置者が国から「国立大学法人」にかわることで、国の財政責任は後退します。各法人の経営状況が悪化すれば、学費値上げを招く恐れがあります。
法人の運営は、学長と学長が任命する少数の理事(学外者を含む)でつくる役員会で決定します。役員会のもとに経営協議会(半数以上が学外者)と教育研究評議会を設けます。
反対討論で日本共産党の児玉健次議員は、法案が「わずか十三時間余りの審議で委員長職権により採決が強行された」と抗議、自主的であるべき中期目標を文科相が定めるのは「教育研究への国家統制であり、戦前にも行われたことがなく、世界にも例を見ない」と批判しました。教育公務員特例法から大学教職員を除外することによって、大学の自主的判断で学長や教授などを選任する法的根拠がなくなり、「大学の自治の形がい化をもたらす危険がある」と述べ、廃案を要求しました。