2003年5月22日(木)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の志位和夫委員長が二十一日、国会内で定例の記者会見を行い、大手金融グループりそなホールディングスの危機問題の本質と、この問題に対する日本共産党の立場について次のようにのべました。
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りそな危機については、来週の二十八日、二十九日に、衆参の予算委員会で集中審議もおこなわれるとのことだが、この問題の本質がどこにあるか、何がいま必要かについて、わが党の基本的見解をのべておきたい。
りそな危機の一番の本質というのは、一言でいって、「不良債権処理の加速」という「竹中プログラム」が人為的に引き起こした危機というところにある。すなわち「竹中プログラム」のなかに盛り込まれている、銀行の自己資本の算定方法、資産の査定方法を、アメリカ流のやり方に変更するということを、りそなに押しつけたところから、りそなは急激な自己資本不足におちいった。
こうして人為的に自己資本不足をつくりだして、二兆円をこえる公的資金を入れ、無理やり国有化し、不良債権処理を一気にすすめようというところに、いまの事態の本質がある。
りそな危機が何を引き起こすか。私たちが強く危ぐしていることが二つある。
一つは、りそなでは、公的資金注入をてこに、不良債権を二―三年で処理するとされているが、りそなの貸出先は、中小企業向けが46%である。すなわち、中小企業向け貸し出しが、整理回収機構(RCC)に売却される危険が迫っている。
いま一つは、りそな危機によって、他の四つの大手銀行グループが、国有化を恐れ、自己資本引き上げ競争を、いっそう激化させることだ。すなわち貸しはがし、貸出金利引き上げ競争はいっそう熾烈(しれつ)になるだろう。大手銀行全体をそういう道においこんでいくことが、強く危ぐされる。
両方とも、現在の金融の危機をいっそう深刻にする。政府は、りそなへの公的資金注入について、「金融システム危機の未然防止」「健全銀行として再出発させ、中小・中堅企業への融資拡充をはかる」などといっているが、この題目とは正反対のことがすすむ。
ほんとうの金融の危機とは、信用が収縮し、銀行が金融仲介機能を喪失することだが、まさにこの金融の機能を破壊してきたのが「竹中プログラム」だ。日銀は、昨年、十五兆円の資金を銀行に流し込む「超金融緩和政策」をとったが、銀行から企業への貸し出しは逆に二十三兆円減少しているといわれている。現場では「超金融引き締め」がおこっている。金融が極度の委縮におちいり、まひ状態におちいっている。
金融のまひ状態は、実体経済をさらに落ち込ませる契機となり、それがさらに金融の危機を深刻にするという悪循環をつくっている。りそな危機は、この金融の危機をさらにひどくする。それは金融破壊への道となりかねない。
だいたい二兆円もの国民の血税を使っておいて、小泉首相や竹中大臣は「これは失政ではない、改革だ」といっているが、この発言は失政を失政と自覚しない、まったく倒錯した立場をしめしている。こういう勢力に経済をあずかる資格などない。
いまもとめられているのは、金融破壊の「竹中失政プログラム」を即刻撤回すること、竹中大臣を即刻罷免することだ。これが、日本の金融をまともに立て直していくうえでの、第一歩になる。