2003年5月18日(日)「しんぶん赤旗」
「赤旗の報道は承知しているが、発言はモフィット司令官のものだ」(石破茂防衛庁長官)
「赤旗記者は現場でパーカー艦長が答えるのを見ている」(赤嶺政賢・日本共産党衆院議員)
十六日の衆院安保委員会でのやりとりです。海上自衛隊の補給艦が、イラク戦争に参加していた空母キティホークに間接給油を行ったと言明した米軍幹部について石破長官は、事実確認すらしないまま無責任な発言を繰り返しています。
事実はこうです。
記者はキティホークが母港・横須賀基地に帰港した六日、現場で記者会見を取材していました。
接岸したキティホークからタラップでふ頭に降り立ったマシュー・モフィット第五空母群司令官はじめ、キティホーク機動部隊の幹部五人がカメラの前に並び、記者団に囲まれました。在日米海軍司令部の日本人通訳が五人を紹介した後、最初にモフィット司令官が会見に応じました。
同司令官は記者から「海上自衛隊から給油は何回受けたのか」と聞かれましたが、「海上自衛隊から?」と驚き、一緒に並んでいたトーマス・パーカー・キティホーク艦長に「トム、われわれは海上自衛隊から洋上給油(RAS)を受けたのか」と聞きました。
そして同艦長が、海自補給艦から米補給艦に給油があり、その補給艦を通じて給油が行われた経過を説明したのです。
日本共産党の小泉親司参院議員、赤嶺議員が国会で事実経過を追及しましたが、石破長官は「何度も米側に確認したが、発言はモフィット司令官のもの。パーカー艦長と報道しているのは赤旗だけだ」といいつづけています。
一連の経過はテープに録音されています。赤嶺議員は十六日の衆院安保委員会でこのテープによる再確認を求めましたが、同長官は「そのようなつもりはない」と拒否しました。
ことは単に、発言したのはだれなのかにとどまりません。「米側が回答したのだから信じろ」との態度で、国民の疑問にまじめに答えない防衛庁の姿勢そのものが問われているのです。
テロ特措法にもとづく海上自衛隊の給油活動は、「作戦上の理由」で活動範囲や給油対象などが一切明らかにされておらず、「国民の知らないところで活動範囲が拡大されているのでは」と懸念されていました。しかも国民の税金を投入しての給油活動です。防衛庁は疑問に真摯(しんし)に対応する義務があります。(竹下岳記者)