日本共産党

2003年5月18日(日)「しんぶん赤旗」

りそな 公的資金2兆円

初の特別支援

小泉失政 ツケ重く


 大手金融グループのりそなホールディングス(HD)が十七日、公的資金注入の申請を決めたことを受け、政府は同日夕、預金保険法一○二条に基づき初の金融危機対応会議を招集し、同社への資本注入を決定しました。注入額は二兆円規模となる見込み。日銀も同日夜、りそなへの特別融資の実施を決めました。預金は全額保護されます。


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りそな銀行=東京都内の支店

 りそなによる申請は、二○○三年三月期の連結自己資本比率が「健全性」の目安となる4%(国内基準行)を下回ったため。預金保険法による特別支援適用第一号として、りそなは事実上国有化され、勝田泰久HD社長ら経営陣は退陣、今後は政府管理の下で徹底したリストラが迫られます。りそなは「経営再建策」のなかで、従業員を削減し、一年以内をめどに約五十の関連会社を半減させるとしています。

繰り延べ税金資産

 すでに納めた税金のうち、将来戻ってくると見込んで、帳簿上、自己資本として計上した資産のこと。小泉内閣の「金融再生プログラム」(竹中プログラム)は、繰り延べ税金資産の「資本性が脆弱(ぜいじゃく)」だとして、戻ってくる税額や自己資本への参入を厳しく限定するとしています。

 りそなHDは○三年三月期決算作成の過程で、監査法人から、将来の収益計画を前提に自己資本に算入できる「繰り延べ税金資産」の大幅な取り崩しを指摘されました。この結果、連結自己資本比率は同社が見込んでいた6%台後半から一気に4%を割り込み、資本不足に陥りました。

 小泉純一郎首相は同日の記者会見で「金融危機を起こさないようにしっかりした対応をしたい」とのべました。一方、自民党内からも「全体の経済を活性化していく基本政策をしない限り、国有化をどんどんやることになる」(亀井静香・前自民党政調会長)、「(竹中平蔵金融・経済財政担当相は)大きい銀行をつぶしたいという感じだった。彼の一つの目標を達したのかもしれないが、国民の財産、生活を守るのが閣僚の責任だ」(野中広務・元自民党幹事長)と批判が出ています。


真の金融再生策へ転換を

市田書記局長が談話

 日本共産党の市田忠義書記局長は十七日、りそな銀行グループへの公的資金注入について、次の談話を発表しました。

 本日、りそな銀行が、公的資金注入の申請をおこなった。こうした経営危機をもたらしたのは、経営者の責任もさることながら、小泉内閣の経済大失政こそが最大の原因である。小泉内閣は、この間、実体経済を良くする対策は何もおこなわないばかりか、より不況を深刻にさせることがあきらかだった「不良債権処理の加速策」など、いわゆる「竹中プログラム」を強引に押し進めてきた。その結果、株式市場の急落、GDPゼロ成長、国民の所得の大幅減など、日本経済は深刻で、新たな危機に直面している。

 「竹中プログラム」は、わが国の金融の実態を無視し、アメリカ仕込みの「資産査定」などを金融機関に強要し、貸し渋り、貸しはがし、貸付金利引き上げなど、金融収縮をいっそうはげしくしてきた。これは「金融の再生」どころか、金融破壊でしかない。

 日本共産党は、こうした「竹中プログラム」を撤回し、“経済の血液”である金融を国民経済全体にゆきわたらせる、真の金融再生をすすめることが必要だと考える。あわせて、今回の事態によって、りそな銀行だけでなく、大手各行が自己資本比率を守るために、乱暴な取引先企業の切り捨てや、いっそうの貸し渋り、貸しはがし、利上げにはしる危険がある。このような事態を引き起こさないことを、政府に強く要求する。


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