2003年5月15日(木)「しんぶん赤旗」
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【パリ13日浅田信幸】政府がもくろむ年金制度改悪に反対して十三日、フランス全土で数百万人の労働者がストに決起、百都市以上で行われたデモの参加者は全体で二百万人に達しました。デモは労働総同盟(CGT)をはじめ、直前に合流を決定した組合を含めて全国九労組が統一して呼びかけました。
このストで全国の鉄道、航空、地下鉄、バスの大半が運休し、学校はほぼ全休、郵便局の業務も普段の半分、公立病院も休業となるところが少なからず出ました。
各地で行われたデモには主催者発表で、パリ二十五万人、マルセイユ二十万人、モンペリエ五万人、ナント五万人、トゥーロン三万五千人など、どこでも最大規模の参加を記録。一九九七年の社会党を中心とする中道左派政権誕生の要因となった九五年秋冬の社会保障改悪阻止の大闘争時に匹敵する規模となりました。
パリでは、「年金のために、みんな一緒に」と書かれた横断幕を先頭に、参加者は「六十歳で満率の年金を」「別の選択を押し付けよう」「けちん坊が政権についている」「みんな一緒に、ウィ、ウィ」などの横断幕やスローガンを叫びながら市内を約四・五キロにわたって行進しました。
ラファラン政権は、年金財政の逼迫(ひっぱく)を理由に年金制度の改革を今年前半の最優先課題に位置づけ、今月末にも法案を閣議決定の予定。四月末に公表された改革案は、(1)保険料支払い期間の延長(2)年金受給額の引き下げ―などを柱とし、とくに公務員に厳しい内容となっています。
パリのデモ行進に加わったCGTのティボー書記長は「動員の一つの峰を越えた。新たな交渉の出発点だ」とストとデモの成功を強調。労働者の力(FO)のブロンデル書記長は「ラファラン首相が国民の民主的代表であろうとするなら、庶民の声を聞くべきだ」とのべました。
十二日付パリジャン紙に発表された世論調査では64%の国民が労働者のデモに支持もしくは共感を表明しています。