2003年5月15日(木)「しんぶん赤旗」
国立大学協会の法人化特別委員会は、政府に対し労働安全衛生法について罰則などの適用猶予を求める要望書を準備していることが十四日までに、明らかになりました。現在審議されている国立大学法人法案により法人化されれば、安全管理の必要な実験施設などが、違法状態になるにもかかわらず、放置される危険性があります。
国立大学が法人化されれば、新たに労働基準法や労働安全衛生法が適用されます。労働安全衛生法では管理体制が不備な場合、罰則が適用されますが、予算不足などにより国立大学の実験施設などの安全管理は不備なままであり、このままでは多くの大学で同法違反になると見られています。
同委員会は、政府への要請事項を盛り込んだ法人化に関する見解案を準備しており、七日付で各国立大学長へ検討案を送りました。この中で、「労働安全衛生法の適用に関する運用上の配慮」を要望し、罰則規定の適用などに「弾力的な運用」を求めています。
政府がこれを認めれば、国が放置してきた国立大学の施設整備の責任を回避し、違法状態のままに放置することになります。
国公労連(堀口士朗委員長)は十二日、このような動きを「労働者・院生・学生の生命・健康を危険にさらす」として文科相などに、労働安全衛生法などの適用除外・猶予の企ての中止と、国立大学関係者の合意のない国立大学法人化関連法案の撤回などを申し入れました。