2003年5月13日(火)「しんぶん赤旗」
十二日の衆院有事法制特別委員会で、日本共産党の赤嶺政賢議員は武力攻撃事態法案が定める米軍支援について、「一切中身が明らかになっていないままで法案の採決は絶対に認められない」と強調し、政府を追及しました。
赤嶺氏は米軍支援について、法案の第二条六号イの(2)で「物品、施設又は役務の提供その他の措置」を定め、その中身は「事態対処法制の整備の中で検討する」とされているだけで、その中身は一切明らかにされていないことを指摘。周辺事態法とテロ対策特別措置法では別表で米軍への支援内容が示されているのに、「空白のままでいいのかどうか。武力攻撃事態法案ではどういう支援内容を検討しているのか」と迫りました。
川口順子外相 必要な法制については、事態対処法案成立後、法案に示された枠組みにもとづいて整備するとなっており、その内容は、現在作業中でお答えできません。
赤嶺 「今後検討します」では、この法律の審議などできない。
外相 具体的な内容を申し上げる段階ではない。
赤嶺 絶対に納得できない。
米軍支援の具体的中身について一切明らかにしない政府。赤嶺氏は「ただでさえ基地の負担を押しつけられている基地周辺自治体、沖縄から見れば、これに疑問を感じて、その中身を少しでも明らかにしてほしいと聞くのは当たり前ではないですか」と迫り、「多くの国民がそのところを知りたがっている」と強調しました。
続いて赤嶺氏は、「武力攻撃予測事態」での米軍に対する武器・弾薬の提供について質問しました。政府は「周辺事態」と「武力攻撃予測事態」とが併存することを認めています。米軍への武器・弾薬の提供をめぐって、周辺事態法の審議の際には大森法制局長官(当時)が「憲法上の適否について慎重に検討を要する問題」だと答弁していました。
ところが今回の武力攻撃事態法案の審議では、中谷防衛庁長官(当時)が武器・弾薬の提供について、“憲法上できないわけではない”との見解を表明。与党修正案の提出者の久間章生委員は、「予測事態のときにどこまでやれるか、これはまたいろいろ議論があろうかと思います」と委員会でのべています。
このことを指摘したうえで赤嶺氏は迫ります。
赤嶺 武器・弾薬の提供を「予測事態」で行うのは、憲法上の問題であるのか、ないのか。
石破茂防衛庁長官 憲法の範囲内においてのみ行うということになります。
赤嶺氏は、「『周辺事態』のときには憲法違反にあたる重大な問題として検討が必要とされていた問題が、『予測事態』にできるかできないか、憲法上どうなんだということについてもっとはっきり答えるべきじゃないですか」と批判。
石破長官は「ケース・バイ・ケースで判断されることであって一概に申し上げられない」「『予測事態』と『周辺事態』というのは必ずしもぴったり重なる事態ではない。場合場合による」と答弁。場合によっては、「予測事態」での武器・弾薬提供がありうることを認めましたが、憲法上の問題があるかどうか明言しませんでした。