2003年5月13日(火)「しんぶん赤旗」
有事法案をめぐり、与党三党と民主党との「修正」協議が大詰めを迎えるなか、自民党は十二日午前、中川秀直国対委員長と久間章生衆院有事法制特別委理事が会談し、有事法案を十四日に委員会で採決することを確認しました。十五日にも衆院を通過させるため、民主党との「修正」協議の結果にかかわらず、採決を強行する方針です。
これにたいし、この日も「有事法制許さない! 運動推進連絡センター」がよびかける国会請願行動がとりくまれ、東京では日本共産党国会議員団が街頭宣伝に立つなど各地で法案廃案の運動強化をよびかけました。
「修正」協議をめぐって十二日午後、与党三党の幹事長・国対委員長が国会内で会談し、八項目の「修正」提案(全文は別掲)を了承しました。
「修正」提案は、(1)民主党が求める「緊急事態対処基本法」の制定は与野党で検討する(2)民主党提案の危機管理庁の設置は「対処組織」の検討を定めた付帯決議を行う(3)「国民保護法制」の整備時期を一年前倒しする――などからなっています。自民党側は同日、この「修正」提案を、民主党の前原誠司衆院有事特理事に提示しました。十三日中に、民主党との幹事長会談で最終決着に持ちこむ構えです。
これに対し、民主党は同日夕、国会内で開いた役員会で八項目の「修正」提案について検討、十三日午前に全議員対象の懇談会で党内の最終的な意見調整をすすめるとしています。十三日の与党側との幹事長会談に応じる見込みですが、菅直人代表、岡田克也幹事長ら執行部が一任を取り付けられるかどうかは不透明です。
衆院有事法制特別委員会は、引き続き十三日に一般質疑を行うことを決めました。日本共産党、自由党、社民党の野党三党は中央・地方公聴会の開催など徹底審議を求めています。
与党が十二日民主党に示した、有事法案の「修正」提案は次のとおりです。
1「緊急事態における基本法」について
・与野党で、「このような法制について政党間で真摯(しんし)に検討し速やかに結論を得ること」を合意する。
・「政府は、緊急事態へのより迅速かつ的確な対処を実施するあるべき組織について検討を行うものとする」との付帯決議を行う。
・武力攻撃事態対処法第三条第四項は修正しない。
2「武力攻撃事態対処法案」について
(1)「武力攻撃事態および武力攻撃予測事態の認定」
「認定の前提となった事実」との文言を追加する。
(2)「国会承認・民主的あり方」
国会の議決により対処措置を終了させる手続を追加する。
(3)「国民への情報提供」
政府による適時適切な国民への情報提供にかかる規定を基本理念に追加する。
(4)「指定公共機関の定義」
「指定公共機関の指定にあたっては、報道・表現の自由を侵すようなことがあってはならない」旨を付帯決議に盛り込む。
(5)「施行期日」
・「事態対処法制は二年以内を目標として整備」との規定を削除し、事態対処法制の整備を「速やかに」行う旨を規定する。
・「国民保護法制の整備は、一年以内を目標に実施すべき」旨を付帯決議に盛り込む。
・対処法案第一五条(内閣総理大臣の指示等)は、「国民保護法制」の施行にあわせて施行する。