2003年5月12日(月)「しんぶん赤旗」
保守新党の松浪健四郎衆院議員に暴力団との密接な関係や秘書給与肩代わり問題が発覚して一カ月。与党は野党の辞職勧告決議案や予算委員会での参考人招致要求を拒否し、松浪氏をかばってきましたが、その足元で不祥事が続発しています。
一つは厚労省の木村義雄副大臣が一九九七年、整骨院・接骨院の業界団体の陳情を受けて旧厚生省に圧力をかけ、団体への指導通知を中止させたとされる疑惑です。
整骨院・接骨院の柔道整復師が手当てをして保険請求する際、申請書にけがの原因を詳しく記載するよう指導する厚生省の方針に対し、業界団体側は「事務が煩雑になる」として反対。この陳情を受けた木村氏が厚生省に撤回を求め、指導が行われなくなったと指摘されています。
日本共産党の小沢和秋衆院議員は、通知撤回後の九七―二〇〇〇年総選挙までに業界団体から献金が集中し、香川県接骨師会の会長が「指導の見送りで働いてもらったお礼の献金」と新聞紙上でのべたことを追及。これに木村副大臣は「身に覚えがない」「一般的な献金」と否定しました。
特定の団体の意向を受けて省庁に圧力をかけ、見返りに献金を受け取るのは「ムネオ疑惑」にも共通する構図です。しかし坂口力厚労相(公明党)は「信念を持って対応していると思う」と木村氏を擁護しました。
労働者派遣法改悪案が緊迫した局面を迎えるなか、所管の副大臣の疑惑は重大です。
日本道路公団が民営化論議の最中に、国会議員十一人を料亭などで「接待」していたと、九日付「読売」が報じました。
公団が開示した資料によると、二〇〇一年六月から〇三年三月にかけ、自民・村岡兼造元総務会長(高速道路建設推進議連会長)、衛藤征士郎衆院議員(同議連幹事長)、亀井静香元政調会長(同議連会長代行)など十一人が計十七回、料亭やすし屋などで飲食を伴う会議に出席。費用は公団側が支出していました。
名前の挙がった自民党国会議員は高速道路関係議連や党道路調査会に所属する「道路族」が多く、公団側がムダな高速道路の建設ストップに抵抗するため“応援団”として接待した格好です。
議員も公団側も酒を伴う会食を「常識の範囲内」としていますが、多額の飲食が寄付にあたると見なされれば、政治資金規正法に触れる可能性もあります。
上野公成官房副長官(自民)の献金二百五十万円記載漏れに続き、小林興起財務副大臣(同)が献金五百八十万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことが分かりました。二人とも報告書を訂正しましたが、坂井隆憲衆院議員(逮捕)の事件以降、政治資金規正法に基づく政治献金の厳正な取り扱いが求められるなかでのことです。
これらの不祥事を引き起こしながら、自民党はじめ与党は、政治家と暴力団の癒着で国民の信頼を裏切った松浪議員を辞職させず、政治倫理審査会で弁明させて事態の幕引きを図っています。
松浪氏の問題は、暴力団幹部が会長を務める会社から地元秘書二人分の給与を受け取りながら政治資金規正法に記載しなかったもの。
さらに指名手配中の組員の依頼を受けて大阪府警に捜査状況を照会したことは犯罪の手助けにつながりかねず、議員辞職して当然の重大な行為です。