2003年5月9日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の林紀子議員は八日の参院文教科学委員会で、日本育英会を廃止し、独立行政法人とする日本学生支援機構法案について質問しました。
林氏は、失業中の女性からの手紙を紹介しつつ、奨学金制度拡充の必要を訴え、高等教育無償をうたった国連人権A規約第十三条二項bおよびcを、日本政府が留保していることを批判。「締結国は百四十六カ国におよび、二〇〇一年には、留保の撤回の検討を要求する勧告が出されている。留保を解除していくべきではないか」とただしました。
遠山敦子文科相は、「高等教育無償は一つの考え方で、すぐれた制度かもしれない」としながらも、「膨大な国費を必要とする。実現する裏打ちがない」と、学生とその家族の願いに背を向けました。
つづけて林氏は、奨学金を利用する保証料として月二千―三千円を支払わせる制度(機関保証制度)を導入しようとしていることについて、「学生に新たな負担を押し付け、しかも信用保証会社には学生の個人情報まで売り渡される」と指摘。返還義務のない給付制の奨学金を検討し、当面、無利子の奨学金の拡充を求めました。遠山文科相は、「返還を通じて、学生の自立心、自己責任を涵養(かんよう)する教育的効果がある」とのべ、あくまで有利子奨学金を中心にした現行貸与制度を続ける考えを示しました。