2003年5月8日(木)「しんぶん赤旗」
陸上自衛隊西部方面隊第四師団(福岡県春日市)の飯塚駐屯地で、大がかりなカラ出張が行われている実態が七日の参院決算委員会で明らかになり、石破茂防衛庁長官は「事実とすれば極めて問題だ。指摘にしたがって調査したい」と約束しました。これは日本共産党の小泉親司議員が取り上げ、追及したものです。
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小泉議員の調べによると、自衛官の出張は年度末にあたる二月十五日から三月末の「運用統制期間」に集中していました。これは、予算を年度内に消化しないと次年度の予算獲得に結びつかないという財政法上の制約(会計区分、会計年度)を逆に利用したもの。
同議員が示した資料などによると、二〇〇一年(平成十三年)三月五、六、七日に上司から残業を命令されていた自衛官が、当人の知らない間に鹿児島県国分市の国分駐屯地に“カラ出張”させられていました。
当人は後日、規定にもとづいて残業手当を請求しました。このため会計隊には(1)会計担当者が作成したカラ出張の旅費請求書(2)当人による正規の残業手当請求書(超過勤務命令簿)――が存在する事態に。
これを隊内の会計監査隊が発見。会計検査院に見つからないようにするため「超過勤務命令簿」や出勤簿を改ざんし「超過勤務命令簿」で三月五、六、七日の残業を消し、別の日の十二、十三、十四日に残業したかのように埋め合わせる“証拠隠し”を行いました。
小泉議員は、カラ出張などで浮かした資金が隊内でプールされ、接待や飲食、慶弔費などに使われていた、と指摘。「公金不正利用に、ある自衛官は意見書や上申書を内容証明で上部機関にあげているが、担当の三佐は『告発するなら免職覚悟でやれ』と事実上の脅しをかけている。防衛庁長官はどう考えるのか。これは西部方面隊だけの問題ではない」と追及しました。
石破長官は「内容証明は西部方面隊に届いている」と認め、「公金不正は断じてあってはならず、ましてもみ消しや脅しはあってはならない。(西部方面以外の)部隊についても疑惑を払拭し、厳正に心がけたい」と答え、調査と報告を約束しました。