日本共産党

2003年5月4日(日)「しんぶん赤旗」

地方制度調査会「中間報告」

「西尾私案」をもとに

市町村合併強制の方向示す


 政府の地方制度調査会(諸井虔会長)は四月三十日の総会で「今後の地方自治制度のあり方についての中間報告」を決め、六日に小泉首相に提出します。強制的な市町村合併を掲げた西尾勝副会長「私案」(昨年十一月)の取り扱いが最大の焦点でしたが、同「私案」の方向を基本にしながら、強制合併の方向を示したものです。

 「西尾私案」は、市町村合併特例法の期限(〇五年三月末)後は、一定人口規模未満の小規模市町村の解消を目指して、財政支援策によらず合併を推進するとしていました。


知事の権限強化

 中間報告では、目標とする人口規模を法律で示すことについては、賛否両論併記としたものの、現在の財政上の優遇措置は打ち切り、新法を制定して知事が合併構想をつくって市町村に勧告、あっせんできるようにするなど、強制的な合併の方向を鮮明にしています。

 その後も合併せずに残る市町村については、「私案」が示したように、大半の権限を都道府県に移す「特例的団体」制度について検討することも盛り込みました。

 また、「私案」にあった、周辺の自治体への編入・権限補完についても、形を変えて打ち出しました。合併を希望しながら関係市町村の合意が得られず合併できない場合、希望市町村の申請により、知事が合併(編入)先を決定できる仕組みを検討する、としています。これも関係市町村にとっては合併の強制そのものです。

 小規模市町村などへの財政上の特例的措置について「見直しを図ることが避けられない」として、人口が少ない自治体ほど地方交付税が割り増しとなる「段階補正」などの削減を示唆しました。

 中間報告がことさら「自主的な合併」などの言葉をちりばめたことから、マスコミには「影潜めた合併強制色」(「読売」一日付)、「『緩やかな合併』が柱」(「朝日」同)などの報道が目立ちました。しかし、中間報告が強制合併の方向を示したものであることは明白です。

 さらに、中間報告は、合併後の自治体内に、旧市町村を単位とした一定の自治権を持つ「地域自治組織」をつくることも盛りこみました。名目は「地方自治の強化」ですが、導入できるのは当面、合併自治体に限られています。旧市町村名を自治組織の名称として使えるため、合併によって市町村名が消えることへの抵抗感を和らげるための色彩が強いもので、合併推進の新たなテコとなりうるものです。

 中間報告で今回、今後、都道府県が広域的な役割、機能を十分発揮するためには、「区域拡大が求められる」として、都道府県合併と道州制について踏み込んだ提言をしたことも重大です。

 道州制の議論は、全国知事会などの反対によって九四年の地方制度調査会で、当面現在の都道府県制を前提とすることを打ち出して以来です。都道府県合併や道州制は、中間報告で「インフラの高度化や産業の活性化をより効果的におこなっていくという意義がある」というように、財界の要求にこたえるものです。


批判発言相次ぐ

 このような中間報告には、四月三十日の地方制度調査会総会でも全国町村会や全国町村議会議長会の代表などから、批判の発言が相次ぎました。「西尾私案」の発表以来強制合併に反対し、「まちの将来は住民の意思で」と求める運動が高まってきました。このとりくみを発展させることがいっそう重要になっています。


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