2003年5月2日(金)「しんぶん赤旗」
労働者と国民が、小泉内閣の悪政に怒り、経済的、政治的な要求をかかげて行動するメーデー。第七十四回メーデーが一日、全国各地でとりくまれました。中央メーデーは、東京・江東区の亀戸中央公園でひらかれ、「解雇『自由化』反対」「医療費負担を元に戻せ!」「許すな! 有事法制」「国連中心にイラクの平和を」とスローガンを掲げ、六万人が参加しました。
第七十四回メーデーの式典終了後、日本共産党の志位和夫委員長、市田忠義書記局長、上田耕一郎副委員長らが中央諸団体のデモ行進の先頭にたちました。
日本共産党の隊列は「医療費三割負担を元に戻せ!」「憲法違反の有事法制を許すな」と元気いっぱい訴え、事務所から出て見送る人もいました。家の前に出てきた女性(78)は戦火に焼け出された経験があるといい、「苦しい人のためになる共産党には頑張ってほしいよ。戦争に協力するのはいやだ」と話します。
二歳の子どもを抱え手を振っていた男性(34)=公務員=は、「共産党には医療や福祉の方に予算を回して景気を良くしてほしい。軍事費はもういい。今のままでは先が見えない」と話していました。
長野市で開かれたメーデー長野県中央集会であいさつした田中康夫知事は、イラク戦争を強行したアメリカを、「現場を知らず、頭の中の空想で、力を用いれば人々を解放できるなどと十九世紀型の考えに固執している」と指摘。
政府が成立をねらう個人情報保護法案や有事法案について、「(個人情報保護法案は)羊の皮をかぶった狼のような法案」、「今、市民の有事とは、アジアでまん延し始めている新型肺炎(SARS=サーズ)にたいして、市民が払う税金を用いた国や自治体が、どのように対処するか、それこそが今私たちの目の前にある有事」と批判しました。
四月三十日にSARSの「対応行動計画」を明らかにした長野県とは対照的に「国からはSARSにたいしてあまり指示がない」として、「市民の平穏な日常をはぐくむことこそが個人情報の保護であり、真の意味での有事にいたらないための手だて」と語りました。
徳島県のメーデーは、自民、公明の道理のない不信任強行による知事選挙の告示日と重なりました。
県中央集会会場の徳島中央公園鷲の門ひろばに集まった五百人を超える参加者は、有事法制許すな、リストラ反対、雇用を守れなどとともに「大田正前知事の再選必ず」を最重要課題にとりくもうと決意を固め合いました。
大田候補がかけつけ、大きな拍手に迎えられて登壇。「労働者の決起の日に知事選が告示になり、力強く感じている」とのべ、六四年から毎年欠かさずメーデーに参加し、労働者の気持ちは忘れていないと強調。「汚職調査や県民主権の県政の充実など、やるべきことは多い、がんばりぬいて必ず勝利する決意です」と力強く語りました。
第七十四回大阪メーデーが一日、大阪市北区の扇町公園で開かれました。府内十五カ所の地区メーデーと合わせ五万人が参加(主催者発表)。それぞれ集会とデモ行進し、小泉自公保内閣の悪政と対決し、平和と労働者の権利、暮らしを守るたたかいを大きく前進させようとの決意にあふれました。
扇町公園で開かれた大阪メーデーは、白衣の医療関係者や航空連関係者、解雇撤回を求めて組合を結成し初めて参加する労働者など、広範なたたかう労働者が参加しました。
実行委員長の岩佐敏明大阪労連議長が、イラク戦争での国際法と国連憲章による平和的解決ルールの回復を求めるとともに、有事法制や教育基本法改悪、個人情報保護法などメディア規制反対への運動をよびかけ。連休明けの国会に向けて労働法制大改悪や社会保障切り捨てに反対するたたかいに全力をあげようとよびかけました。
日本共産党の吉井英勝衆院議員が連帯あいさつ。大阪城公園で「せんそうアカン」人文字を成功させた実行委員会の村中健一さん、加藤洋子新日本婦人の会大阪府本部会長が決意を表明。大阪証券労組仲立分会の生島武分会長が争議解決への支援と決意をのべました。
中央メーデーでの津田塾大学名誉教授・江尻美穂子さんの連帯あいさつ(要旨)を紹介します。
私は健康教育を専門にしています。健康というものが平和なくしては絶対に達成できない、健康教育は平和教育であると、学生たちと一緒に考えてきました。
いまや、地球レベルでものを考えなければいけない時代です。アメリカの武力によるイラクの制圧や、自殺に追い込まれる働き手など、ともすればあきらめそうになる状況がありますが、平和を追求し、憲法を守ることによって人間らしく働けるように、私たちはこの社会に変化を起こしていかなければいけない。
そのためには、連帯してともに活動する、ともにたたかうことが大事だと思っています。このメーデーがその機会になると確信しています。平和を実現するためにがんばりましょう。
連合は一日、東京の代々木公園で第七十四回メーデー中央大会を開き、六万五千人が参加しました。会場では「労働法制改悪を許すな」「景気回復へ。それは小泉首相が辞めること」(JAM)、「なくそう不払い残業!」(UIゼンセン同盟)と大書きしたプラカードが目立ちました。
主催者あいさつで笹森清会長は、国会に提出されている労働基準法・労働者派遣法「改正」案は「解雇の自由を前面に押し出し、不安定雇用を助長拡大させるなど、見過ごせない改悪が含まれている」と指摘。「法案の抜本修正を求め、受け入れられない場合は、廃案も辞さない決意」との考えを表明しました。
また、失業の長期化や不払い・長時間労働がリストラが強行された職場で横行していることに、「一方では失業、一方では不払い残業、長時間労働といったでたらめをわれわれは決して容認・放置できない。悪質なものは告発も辞さず、すべての職場から不払い・長時間労働を一掃していかなくてはならない」とのべました。