2003年5月1日(木)「しんぶん赤旗」
「今後の地方自治制度のあり方」について検討してきた第二十七次地方制度調査会(首相の諮問機関、諸井虔会長)は三十日の総会で、「中間報告」を決定しました。六日に小泉首相に提出します。
最大の焦点だった市町村合併問題では、西尾勝副会長の私案で示された小規模自治体の権限取り上げなどについて「検討」するよう求める内容になっています。
合併特例法の期限(〇五年三月末)後も新法を制定して合併をさらに推進すべきだと強調。現行特例法の財政上の優遇措置は打ち切るものの、都道府県知事が「勧告」や「あっせん」ができるよう権限を強化します。
その後も合併せずに残る市町村については、大半の権限を都道府県に移す「特例的団体」制度について検討するよう求めています。
一部委員や自民党内から出ていた、基礎的自治体としての人口要件を数値(一万人以上など)で示すべきだとの主張については、肯定、否定の両論を併記しました。
同時に、合併後も「住民自治を強化する」として、旧市町村単位で一定の自治権を認める「地域自治組織」制度の導入を打ち出しました。
新設する「地域自治組織」は、政令指定都市の区と同様の「行政区」タイプと、東京都二十三区のような、より幅広い事務を扱う「特別地方公共団体」タイプの二つから選択。名称に旧市町村名を使うことも認めるとしており、新たな合併のテコにもなるものです。
このほか、都道府県の合併について市町村と同様、議会の議決を経て合併を首相に申請できる都道府県合併特例法の制定を提案。
全国を数ブロックに分ける「道州制」については「幅広く論議をおこなうことが重要」とし、道州制に道を開くものになっています。
中間報告を決めた三十日の地方制度調査会の総会では、自治体関係の委員から批判などが相次ぎました。
全国町村会の山本文男会長は、中間報告が人口が少ない自治体に地方交付税を手厚く配分する「段階補正」など優遇措置は「見直しが避けられない」としている点について、「(交付税)の大きいところを削るのでなく、ささやかなところをなぜ削るのか」と批判。「反対がたくさんある。全面賛成できない」とのべました。
全国町村議会議長会の安原保元会長は、基礎的自治体の人口規模を目標数値として示すことについて「目標を定めると合併が強制される。段階補正の見なおしも合併へのムチとなる。自主的合併にもとるものだ」と批判しました。
これにたいして、人口規模一万人以下の町村をなくしてしまうことを打ち出している自民党の野中広務衆院議員・元幹事長(国会議員選出の委員)は「一万を最低基準とすべきだ。昭和の大合併にも基準を置いたんだから今回も置くべきだ」とのべました。