2003年4月30日(水)「しんぶん赤旗」
岡山県金光(こんこう)町は金光教発祥の地、植木の産地として知られる人口約一万二千五百人の町です。この町に全国十一番目の共産党員首長が誕生しました。(岡山県・宮木義治記者)
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「やった! 正義が勝った!」。「清潔公正な町政をつくる会」の役員の一人、清水昌子さん(60)は叫びました。「会」の擁立した日本共産党前町議の片山均さん(65)が三千七百五十二票を獲得、四十六票差で、四選をめざした現職の畑中知時氏(64)に競り勝った、その瞬間のことでした。
「権力で何事もできた前町長の、あれだけの締め付けのなかで、町民は口に出してはいえなかったけれど、気持ちのなかでは片山さんへの期待が沸き上がっていたんですよ」と話します。
地元紙山陽新聞は、選挙の結果で「町の流れが変わる」と町民の声を伝え、「支持者は草の根運動での勝利に沸きかえった」と書きました。
「つくる会」が発足したのは今年二月十七日。町文化協会元役員や老人クラブ連合会長、無所属町議の一人など、八人の会員での出発でした。
無計画で必要のない道路や橋の工事に五億円かけ、介護保険料を48%値上げするなど、住民無視、住民犠牲の施策を推進する町政。企業から高級車をもらうなど癒着や不正疑惑も浮上しました。
「町を歩くと、『今度は町長に辞めてもらわんといけん』『無投票当選だけは許したらいけん。だれか人物はおらんか』と話になった」と、会の役員たち。
そこで白羽の矢が立ったのが、ワンマン町長と決然と対決してきた日本共産党町議八期の片山さんでした。
無所属の浅野弘光町議も、「不正を許さない、正しいことを主張する誠実な人。日本共産党員だからこそ、今日の片山さんがあるんです」と応援しました。
選挙戦で片山さんは、「清潔公正な金光町だと、胸を張っていえる町づくりを」「町長給与の三割削減と交際費の減額、町長公用車を廃止して国保・介護保険料の減免制度に回します」と訴えました。その訴えは町民の心をつかみ、一気に浸透していきました。
これに対して現職陣営は政策を語れず、「合併直前の町政を共産党にまかしていいのか」「いまの町政も悪いけど、アカの町長になったらもっとえらいことになる」と、反共攻撃の一本やりでした。
「畑中町長はワンマン。片山さんは町民のために一生懸命の人。それはケーブルテレビで逐一報道される議会での活躍を見ればよく分かる。人物的には圧倒的に信頼があった」と語るのは、文化協会(会員約千人)元事務局長の佐野五朗さん(75)。アカの町になったらえらいことになるという攻撃にも、「共産党が何をしたというのか。人を困らせるのを見たことがあるか。ないじゃろう」といって町民に話すと、「それは、その通りじゃろう」という返事がかえってきたといいます。
当選の報にわき立つ町民にかこまれ、ちょっと緊張気味の片山さんは、「介護保険料の軽減などくらしや福祉を守ること。そして清潔・公正な政治。この二つを、どんどん推し進めていきたい」と決意を語りました。