日本共産党

2003年4月26日(土)「しんぶん赤旗」

無法 公明党に怒り

公選法違反の重大行為

違法承知で大音響

墨田・診療所77歳不当逮捕

選管に公明陣営


 「暴力なんてウソだ」−−。東京・墨田区の民医連加盟の診療所周辺で、大音量でデマ宣伝する公明党区議候補の選挙カーに抗議した稲見朝吉さん(77)=同区在住=が二十四日、選挙の「自由妨害」などとして逮捕された事件で、向島署による不当逮捕と公明党の卑劣な行為に強い怒りが広がっています。


 事件が起きたのは民医連加盟のすみだ共立診療所周辺。ここでは、公明党・広田充男候補の選挙カーなどによる大音量のデマ宣伝が繰り返されていました。

 各候補の宣伝カーが頻繁に通る同診療所前。これまで公明党宣伝カーは診療所前の通りに入ると、ボリュームをあげ速度を落としました。

 「診察妨害です」と怒るのは同診療所の青木宮子婦長(45)。事件の起きた二十四日に診察室にいた看護師は「医師が患者から症状を聞いたり、療養上の注意を与えたりするのが、大音響でまったくできませんでした」と告発します。

 たまりかねて抗議したのが稲見さんでした。

 「見て見ぬ振りのできないまじめな人だったのよ」と語るのは事件を目撃した女性(68)です。

 「暴力なんてないですよ。抗議してた人は『患者に不安を与えるような宣伝はやめて』といってたんです」と語ります。

 二十一日に同診療所は「診療所の前では音量を落とさせ、誹謗(ひぼう)・中傷はやめさせてほしい」と墨田区選挙管理委員会に申し入れていました。

 二十五日、同選管の山口昭義・事務局長は「本日、公明党・広田陣営から『学校や病院の周りでは、公職選挙法でボリュームを下げることは当然知ってるよ』という返事があった」とのべました。

 他方、公明党候補の選挙カーは二十五日にも「共産党関係者が暴力を働き、選挙運動を妨害しました」と絶叫しました。

 「おとなしい稲見さんが暴力なんてウソだ」と近所の食品店主(男性)は怒ります。

 同診療所に受診する清野セキ子さん(67)も怒りをこめて語りました。

 「地域の高齢化が進み、往診活動などで医療要求に答えてがんばる診療所です。また医療改悪反対の運動にも熱心です。改悪の張本人の公明党には、うっとうしい存在なのでしょう。だからって、診療妨害は許せない。まして、罪のない稲見さんが逮捕されるなんて、まったく不当です」


お年寄りの抗議当然

弁護士 鳴尾 節夫さん

 公選法第一四〇条の二の2では、連呼行為について「学校及び、病院、診療所その他の療養施設の周辺においては、静穏を保持するように努めなければならない」と定めています。

 今回の事件は公明党が診療所前で、ことさらボリュームをあげて患者のいる診療所周辺で宣伝を繰り返していました。これ自体、公選法に違反する重大な行為です。

 もともと、「医療ミスをおかした共産系の民医連には命を預けられない」などのデマ・中傷攻撃を診療所前で行うことは市民の常識・良識に反する悪質な行動です。診療活動への妨害、名誉棄損にもあたります。診療所職員が「患者さんがおびえている。静かにしてほしい」「業務に支障をきたしている」と、抗議したのは当たり前のことです。ところが、公明党はその場では「わかりました」というものの、また同じようにボリュームをあげて宣伝を繰り返していました。今回の事件で不当逮捕されたお年寄りは、患者さんの依頼を受けて当然の抗議をしたものです。

 選挙というのは政党や候補者が公約を掲げ、政策を競い合うものです。批判は、事実にもとづかなければなりません。そして有権者に判断材料を提供していくのがあるべき姿です。


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