2003年4月25日(金)「しんぶん赤旗」
公明新聞二十四日付は、「北朝鮮問題 真相露呈に怯(おび)える日本共産党の悪あがき」という特集記事を掲載しています。この記事の特徴は、本紙が二十二日付の「北朝鮮問題 『反省なし』は公明党です」で、北朝鮮帰国事業にたいして公明党・創価学会が賛成していた事実のうえに、池田大作・創価学会名誉会長も同事業を肯定していた事実を指摘したところ、大あわてで打ち消そうとしたものです。しかし、“隠すより現る”とはこのことです。
本紙記事は、創価学会現名誉会長の池田大作氏(公明党創始者)が当時、「北鮮帰還などというのも、やはり東洋広布の大前提なのですから」(『会長講演集』第四巻、一九六〇年一月二十四日の講演)などとのべ、創価学会の勢力拡大の機会として、帰国事業を肯定していたことを指摘しました。
公明新聞は、池田氏の発言そのものは認めました。その一方で、池田氏の発言は「北朝鮮への帰国事業について政治的見解を述べたものでは全くない」と弁解しています。
しかし、帰国事業にたいする創価学会と公明党の「政治的見解」は明らかです。東京都議会で一九五八年十二月に「在日朝鮮人帰国促進に関する意見書」が決議された際に、当時創価学会理事長だった小泉隆都議は提出者の一人になっています。また、白木関西総支部長は、聖教新聞(五九年三月六日付)で北朝鮮帰国希望者への「指導」についての質問に、「御本尊様拝んでよかった、これはなによりの朝鮮へ帰るみやげだと思って帰れるようにね」「心配しないでしっかり信心して北鮮支部長ぐらいになりなさい、といってあげて下さい(拍手)」と「解答」しています。
また、帰国事業再開のときにも、公明党・沖本泰幸衆院議員は「現に困っていらっしゃる方々の帰国を進めてあげるような方法をとるべきである」(七〇年四月十三日、衆院運輸・内閣・地行・法務各委連合審査会)と賛成していました。
公明党・創価学会は、この指摘に一貫してだんまりを決め込んできましたが、今回、池田大作氏が北朝鮮帰国事業を肯定していた事実を指摘されると、大あわてで“反論”してきたのです。
けれども、公明新聞は池田氏が「北鮮帰還」を「東洋広布の大前提」とのべていたことは意図的に隠しています。「東洋広布」とは、朝鮮半島をはじめアジアに創価学会の勢力を拡大することが目的であることはいうまでもありません。
公明党は日本共産党が人道上の立場から北朝鮮への帰国事業を支援したことをもって、「9万3000人もの人々を『凍土の地獄』に送り込んだ」などとひぼう中傷してきました。この立場からすれば、公明党・創価学会が帰国事業に賛成した事実を認めるわけにはいかないのです。そうなれば、創価学会・公明党自身も「凍土の地獄」に人々を送りこんだ張本人になってしまうからです。
在日朝鮮人の帰国事業は、赤十字国際委員会が居住地選択の自由にかんする問題として日本と南北朝鮮の政府によびかけ、日本赤十字社が主体となり、政府が閣議決定で推進した事業です。こうした事業を人道上の立場から支援するのは当然のことです。それを、他党を中傷するため、あたかも犯罪行為であるかのように意図的にねじ曲げたために、自ら賛成した歴史も語れない自己矛盾に陥るのです。(T)