2003年4月25日(金)「しんぶん赤旗」
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日本共産党の木島日出夫議員が二十四日の衆院有事法制特別委員会でおこなった質問は、米国がアジアで先制攻撃に乗り出そうとしたときにも有事法制が発動されるという、同法案の危険性を浮き彫りにするものでした。
木島氏は、昨年四月に有事法制関連法案が提出されたときとは国際情勢は大きく変化したと指摘。米国が昨年九月の「国家安全保障戦略」でテロリストなどに対し先制攻撃も辞さない戦略を公式に宣言し、イラク戦争で初めて発動したことを強調しました。
この米国の先制攻撃の戦略が日本周辺で実行された場合、有事法制は発動されるのか─。木島氏は二つのケースをあげ、政府の見解をただしました。
一つは、「米国が相手国に(先制攻撃の)最後通告を突きつけ、相手国も応戦する意思を表明し、米軍基地があり、『日米同盟』を理由に米国の行動を支持した日本への武力攻撃の意思が相手国から表明された状況」(木島氏)です。
木島氏は、こうした状況が、有事法制が発動される日本への「武力攻撃予測事態」に該当するのではないかと質問。これに対し石破茂防衛庁長官は「ご指摘のような状況というものもある」「そういうことがないと、私は言わない」と認めました。
木島氏はさらに、事態が進み、「米国が先制攻撃を開始し、相手国がこれに応戦するだけでなく、米軍基地のある日本への攻撃の意図が推察され、日本への武力攻撃をおこなう可能性が高いと客観的に判断される場合」も、「武力攻撃予測事態」に該当するのではないかとただしました。
これについても石破長官は「予測事態にいたったという場合には、この法案が適用されることはあるだろう」と認めました。
さらに石破長官は「前提がそうであるから、この法律が発動できないとか、できるとかの議論をするつもりはない」と答弁。有事法制の発動要件である「武力攻撃予測事態」と政府が認定すれば、それが米国の先制攻撃によるものかどうかに関係なく発動するとの考えを示しました。
一方で、有事法案は「武力攻撃事態への対処においては、…国際連合を始めとする国際社会の理解及び協調的行動が得られるようにしなければならない」(武力攻撃事態法案第三条第五項)と規定しています。
木島氏は、米国が単独で武力攻撃に踏み切ろうとしたときには、この規定に反することになると指摘、「(有事)法案を動かさないと明言できるか」と追及しました。
これに対し石破長官は「(国際)協調的なことを求めていくのは当然」としつつも、なんの根拠もなく米国単独の先制攻撃は「想定されない」と支離滅裂の答弁。法案を発動しないとは明言しませんでした。