2003年4月23日(水)「しんぶん赤旗」
参院法務委員会で二十二日行われた刑務所問題に関する集中審議で、日本共産党の井上哲士議員が質問に立ち、昨年五月に名古屋刑務所で発生した革手錠締めつけによる受刑者死亡事件について、暴行の事実が刑務所や名古屋矯正管区ぐるみで隠ぺいされた疑いを指摘しました。
この事件について、正式に死因などを記録し三年間保管する「被収容者死亡報告」が矯正局に届いたのは、死亡から一カ月半もたった七月十七日のことでした。その間、法務省矯正局として「督促はしなかった」(横田尤孝矯正局長)といいます。
井上氏は「その間に事件を隠ぺいしようとしたさまざまな動きが見て取れる」と指摘。(1)事件当日の処遇表(保護房内の様子をモニターで監視し十五分ごとに記録したもの)などに、革手錠を途中できつく締め直した事実が書かれていない(2)六月六日に名古屋刑務所が矯正管区あてに出した報告に「肝臓の挫裂は、革手錠の使用と関係づけるのが相当」という医師の言葉が記載されているが、この報告は矯正局にあげられなかった(3)「被収容者死亡報告」には(2)の医師の言葉が記述されていない――など不審な点をあげました。横田矯正局長は「記載されなかった理由は現時点で判明していない」など不明確な答弁に終始しました。
井上氏は、「身内調査では問題は解決しない」とただしました。