日本共産党

2003年4月21日(月)「しんぶん赤旗」

埼玉県が試算

市町村運営の国民健康保険

県統合なら6割で値上げ


 市町村が運営する国民健康保険を全県一つに統合した場合、六割の市町村で保険料(税)が現在よりも上がることが、埼玉県の試算でわかりました。政府・厚生労働省は「財政基盤の安定化」を理由に、市町村国保を都道府県単位に統合する計画をすすめていますが、多くの自治体で、住民がいっそうの保険料値上げを強いられる危険性が浮き彫りになりました。

 試算は、有識者や自治体関係者らでつくる「国保の広域化を考える懇談会」がことし三月にまとめた報告書のなかで明らかにしたものです。

年11万円超す値上げ例さえ

 それによると、二〇〇〇年度の県下九十二市町村の保険料をもとに、県全体の保険料額を全世帯数で割って試算したところ、一世帯当たりの県平均保険料は年十七万四千七百六円となりました。

 これを県の統一保険料として、各市町村の現在の保険料と比較したところ、統合した場合、五十八市町村(全市町村の63%)で値上げになりました。値上げ幅が年十一万円を超える村もあり、一万円を超える自治体は、三十二市町村にのぼりました。

繰り入れ分を加算なら9割

 市町村国保には国民の四割近くが加入し、とくに低所得者や失業者、高齢者などの割合が高く、保険料の値上げは、滞納世帯を増加させ、国保財政の悪化につながります。そのため、多くの市町村が、赤字補てんや保険料抑制のために、一般会計から法定外の繰り入れを行っています。

 埼玉県でも七十四市町村が法定外の繰り入れを実施していました。

 報告書では法定外の繰り入れ分を保険料に加算した場合も試算。一世帯あたりの統一保険料は年十九万五百九十六円となり、九割近い八十市町村で値上げになることもわかりました。


国庫負担復元こそ

国保危機で 日本共産党が提案

 日本共産党は、国保料の高騰と滞納世帯の増加など国保の危機を招いた原因について、国庫負担の相次ぐ切り下げや滞納世帯からの国保証取り上げの制裁措置の強化など「第一義的責任は国にある」と指摘しています。

 国保の統合計画について、「国保の根本的な矛盾を解決することは不可能」「まず、国が財政面で責任を果たすこと」を求め、(1)市町村国保への国庫負担割合を計画的に復元すること(2)市町村も積立金の活用などで国保料引き下げや減免制度の拡充に努力することなどを提案しています。


改善に取り組む首長や議員もっと

 中央社会保障推進協議会の相野谷安孝事務局次長の話 国保の統合化が、国民皆保険制度を支える国保制度の危機を解決するどころか、いっそう深刻にすることが裏付けられました。

 国保問題の元凶は、国が一九八四年の法改悪を皮切りに国庫負担の割合を、医療費の45%から次々に引き下げてきたことにあります。市町村は、国庫負担割合を計画的に元に戻すことなど財源保障を強く求めるとともに、国保積立金や一般会計からの繰り入れなどを活用して、国保料の値下げに踏み切ってほしいと思います。

 今回のいっせい地方選挙で、住民の命と暮らしを守る立場で、国保制度の改善に取り組む首長や議員をもっと増やす必要があります。それが国を動かす大きな力にもなるはずです。


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