2003年4月20日(日)「しんぶん赤旗」
十八日の衆院個人情報特別委員会で、日本共産党の春名直章議員は、野党案のすぐれた特徴を政府案と具体的に対比しながら明らかにしました。
個人の思想・信条などからなる「センシティブ(=取扱いに慎重を要する)情報」について、野党案では具体的に明示し、収集を禁止していますが、政府案には規定がありません。
春名直章議員 センシティブな情報の収集は原則禁止するべきではないか。
細田博之IT担当相 いろんな類型があるので共通の基準で律している。事例が書いていないからといって、甘くなるものではない。
吉井英勝議員(日本共産党、野党案答弁者) EU(欧州連合)指令など多くの国が法律で規定している。野党案は憲法の要請と内外の実践を踏まえたものだ。
春名議員は、個人情報保護条例で、センシティブ情報を規定している地方自治体が六割にのぼっていることを示して、「なぜ国で、できないのか」とただしました。
片山虎之助総務相は、「いろんな山の登り方がある」と、まともに答えられませんでした。
春名議員 野党案は政府案と同じ包括(的規制)法だという声があるが。
山内功議員(民主党・野党案答弁者) 独立した個人情報保護委員会を設置して、恣意(しい)的な介入を排除した。目的によって(規制の)適用除外となるので、マスコミだけでなく、市民の表現の自由を保障するものだ。
「主務大臣制」を設け、各省の大臣が事業者を監督する政府案との違いが鮮明になりました。
政府案の最大の修正点は、行政機関の個人情報保護法案に罰則規定を設けたことです。
春名議員 防衛庁リスト事件は、政府案で処罰できるのか。
松田隆利行政管理局長 もっぱら「職務の用」以外の目的で個人情報を収集したという事実認定が司法当局等でなされた場合、罰則が適用される可能性がある。
春名議員 「職務の用」であれば処罰されないというのが、政府案のミソだ。この罰則規定では処罰されない。
細野豪志議員(民主党、野党案答弁者)は「うっかりやったことでも、職権乱用なら罰則を科すべきだ」とのべ、野党案では「職務の用」であるかを問わず処罰対象となると強調しました。
政府案では、「目的外使用」についても「相当な理由」があれば認められます。
春名議員 目的外利用の判断をくだすのはだれか。
松田局長 第一次的には行政機関の長がおこなう。
春名議員 公正・中立が保てる根拠は。
松田局長 適切な判断がなされると思う。
あいまいな規定で、目的外利用が拡大される政府案の問題点が浮かび上がりました。
目的外利用について、「目的と理由」を記録する義務を明記し、行政機関の長に情報公開・個人情報保護審査会の意見を聞くことを課している野党案の優位性は明りょうです。
目的外利用にかんして注目されているのが、利用目的が異なる二つ以上の個人情報ファイルを照合、結合する「データマッチング」です。
春名議員 これがやられると、個人の情報が丸裸になる。
松田局長 それ自体が直ちに権利を侵害するとは考えていない。
細野議員 データマッチングそのものが大問題だ。目的外利用の規定に入れ、行政機関の自主的努力を促していく。
春名議員は、住民基本台帳ネットワークで、一億二千万人がすべて十一けたのコードで管理され、いろんな情報を集められる土台ができていると指摘。「データマッチング問題について、何らかの規定が必要だ」とのべました。