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成果主義と一体

 これが労働者から告発されて、労基署の是正指導をうけた直後に導入したのが現在の「新Vワーク」です。総合職や技術職の主任クラスに一律導入という対象労働者の範囲も、一日一時間の残業代相当という手当もまったく同じ。労基署に届け出て受理されたため、犯罪だったサービス残業だけが合法化されたかたちです。

 裁量労働制は、実際に働いた時間でなく、労使が事前に労働時間とみなした残業代相当の手当だけが支払われます(深夜・休日を除く)。仕事の成果で評価され賃金が支払われる、成果主義賃金と一体の制度です。

 過大なノルマを課せられて労働者は長時間労働になりがちなため、導入には厳格な法の要件が必要です。仕事の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要があり、仕事の手段や時間配分の決定などを使用者が具体的に指示をしない業務であることもその一つ。これに該当しなければ、導入できないルールです。

 ハード設計技術者の男性はいいます。「仕事の段取りはスケジュールでがっちりきめられ、裁量権なんてありません。午前四時まで働いて朝八時に出勤する若手も。残業はやらせ放題です」

 労働時間でいえば、出退勤時刻は労働者の自主的決定に任せる必要がありますが、「新Vワーク」にそんな自己裁量はないのが実態です。

申請は月数十人

 労働者の多くは「八時半出勤が原則。事情があって事前に届けても九時半」といいます。

 会社は「始業時刻八時三十分以降に出社する場合は、前日までに行先表示板等に出社予定時刻を明記する」とし、「連絡もなく出社予定時刻に出社しない場合は、遅刻と同様上司から厳しく指導する」と、始業時刻を厳しく管理しています。

 日本共産党の国会質問で、厚生労働省は「一般的に、その時間帯に出社しなければならないというのは裁量労働制から逸脱する」と答弁しています(松崎朗労働基準局長、三月十七日)。

 ある技術者は、やりきれない表情でいいました。「残業だけが自分の裁量なんです」

 法が認めていない業務に導入している疑いもあります。本人に確認できた対象外の業務は、経理事務、営業、ソフトやハードの設計開発などと広範囲でした。法は、対象業務と兼任の場合も導入を認めていません。

 NECは、残業代を申請できる制度を設けていますが、申請はわずか「月数十人」。「能力を問われる風潮があり、長時間働いても請求しにくく、上司が認めないと無理」(販売促進職の男性)というのが実態です。

早期の審議入り

 政府は、適法性が疑われるこんな現状を放置したまま、企画業務型裁量労働制(注)の大幅拡大・手続緩和を盛り込んだ労働基準法改悪案を国会に提出、早期の審議入りをねらっています。

 (注)裁量労働制のうち企画業務型は、本社等の中枢部門で企画、立案、調査、分析の業務が対象。導入手続きも詳細に定められています。対象労働者は通常大企業で数十人程度、NECは千人に導入。専門業務型は、システムエンジニア等専門職が対象です。


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