日本共産党

2003年4月18日(金)「しんぶん赤旗」

諫早湾干拓開門検討会議

全委員、農水などOB

“中長期”否定が狙い?


 農水省はこのほど、諫早湾干拓事業の中・長期開門調査の取り扱いを検討する「中・長期開門調査検討会議」を設置したと発表しました。ところがあわせて発表した七人の委員すべてが農水省などから天下った元高級官僚ばかりであることが分かりました。

 有明海のノリ不作問題で設置した第三者委員会(清水誠委員長)は一昨年十二月、諫早湾を閉め切ったことによる悪影響が想定されるとして水門を短期に開ける開門調査と、中・長期の開門調査の必要を提言しました。

 農水省は、しぶしぶ短期の開門調査を実施したものの、中・長期開門調査については「新たな議論の場を設けて判断する」とこれまで先のばしにしてきました。その一方で中・長期開門の妨げになる内部堤防工事を進めています。

 日本共産党の小沢和秋衆院議員事務所が検討会議委員の経歴を調べたところ、七人中五人までが農水省・水産庁OBで、うち二人は干拓事業を進めてきた旧構造改善局(現農村振興局)の局長・次長経験者であることが判明しました。農水省出身者以外の二人も、元建設省河川局長、元環境庁長官官房審議官という経歴の持ち主です。(表参照)

 小沢議員と赤嶺政賢衆院議員は十五日、衆院議長に質問主意書を提出し、委員の人選の経緯などについて答弁を求めています。

公平な第三者で

 小沢和秋議員の話 農水省は、中・長期開門調査を実施すると、九州出身の自民党・久間章生、古賀誠両議員らの立ち会いの元で長崎県知事と約束した二〇〇六年度の事業完成が不可能になるのを恐れて、中・長期調査をしたくないのが本音です。

 今回の委員の構成をみると、中・長期開門調査の必要を求めた第三者委員会の提言をひっくり返すのが目的といわざるを得ません。有明海の再生や不漁に悩む漁民のことを少しでも考えているというなら、学者や漁業者をいれただれがみても公平な第三者で構成すべきです。


中・長期開門調査検討会議委員

 海野研一・全国牛乳普及協会会長(元・農水省構造改善局長)
 亀若 誠・農林水産技術情報協会理事長(元・農水省大臣官房技術総括審議官)
 川合淳二・海外漁業協力財団理事長(元・水産庁長官)
 鹿野久男・自然環境研究センター専務理事(元・環境庁長官官房審議官)
 中道 宏・日本農業土木総合研究所理事長(元・農水省構造改善局次長)
 中村晃次・マリノフォーラム21理事長(元・水産庁次長)
 松田芳夫・リバーフロント整備センター理事長(元・建設省河川局長)


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