2003年4月16日(水)「しんぶん赤旗」
沖縄・名護市の辺野古沖の絶滅の危機にさらされている天然記念物ジュゴンが、米軍基地建設のための防衛施設庁の海底調査によって生息の危機を迎えていることが十五日の参院環境委員会で明らかになりました。日本共産党の岩佐恵美議員がとりあげたもの。
問題の海底地質調査は、辺野古沖での米軍基地建設のため、五月から六十三カ所の海底ボーリングをおこなうという計画。
岩佐議員は、このうちの二十カ所がジュゴンの大事なえさ場である海藻・も場にかかっている事実が専門家から指摘されていることを紹介し、世界北限生息地のジュゴンが「えさを食べる場所を失い、生存の危機にさらされる」と追及しました。
さらに、「環境省のジュゴン調査の報告も出ないうちに、ジュゴンを追い払ってしまうような工事は絶対に許されない」と、工事中止を要求しました。
鈴木俊一環境相は「環境保全の観点から、環境省として防衛施設庁に助言する。環境省のジュゴン検討会の専門家の意見を聞いて対応したい」と答えました。
地元などのジュゴン保護団体からは「環境アセスメント法を逸脱している」「海底ボーリング調査自体がジュゴンの絶滅につながる」と、中止を求める声があがっています。