2003年4月16日(水)「しんぶん赤旗」
医療事故情報の取り扱いについて検討してきた厚生労働省の部会は十五日、事故の報告を一部義務化する報告書をまとめました。これに基づいて、同省は今夏にも、事故情報を収集・分析する「第三者機関」設置のための予算要求を行い、来年度から事故報告制度をスタートさせます。
報告書は、事故事例収集の目的を「発生予防・再発防止が最優先」とし、全国的な事故発生頻度の把握や、当事者の相談などへの対応についても検討していくべきだとしました。
この目的に有用な情報を幅広く収集するため、行政や事故関係者から独立した第三者機関を設置。収集した情報を分析し、改善策を提供します。
特に重大な事例については、国立病院、大学病院など高度医療を提供する施設に報告を義務付けるほか、すべての病院から「報告を強く促す方策を検討する」としました。報告者が不利益をこうむることは不合理であるとし、同機関が収集した情報は「処分に用いない」ことを明記しました。
全日本民主医療機関連合会は八日、「過失責任や懲罰を目的とするのではなく、医療事故の構造や要因を明らかにし、再発防止、医療事故をなくすための提言や勧告を行う、公正中立な第三者機関が必要」と厚労省に要請。そのなかで、「医療事故情報をはじめ医療の安全性にかかわるあらゆる情報の収集、分析と啓もうができる安全情報センターの機能が必要」とのべています。